【10月31日 AFP】国連(UN)のフランチェスカ・アルバネーゼ(Francesca Albanese)特別報告者(パレスチナ自治区の人権担当)がイスラエルについて、「ジェノサイド(集団殺害)」によってパレスチナ人を「根絶」しようとしていると非難したのを受けて、イスラエルのダニー・ダノン(Danny Danon)国連大使は、アルバネーゼ氏に即時辞任するよう求めた。

 アルバネーゼ氏は国連総会(UN General Assembly)の委員会で、ここ数か月の展開によって、「イスラエルがパレスチナ人に対してジェノサイド作戦を行っているという私の評価は、これまで以上に確固たるものになった」と述べた。

 同氏は29日に公開した報告書で、「パレスチナ人に対するジェノサイドは、パレスチナ人のアイデンティティーに不可欠な土地からパレスチナ人を完全に排除、または根絶するという目的を達成する手段であるように思われる。イスラエルはこの土地を違法かつ公然と狙ってきた」と指摘。

「イスラエルは建国以来、被占領地の住民(パレスチナ人)を憎むべき障害であり根絶すべき脅威と見なし、何世代にもわたって何百万人ものパレスチナ人を、日常的な侮辱、大量殺害、大量投獄、強制移住、人種差別やアパルトヘイト(人種隔離政策)にさらしてきた」と続けた。

 これに対しダノン氏はX(旧ツイッター)で、「国連はまたしても、現代史上最も反ユダヤ的な人物の一人のためにレッドカーペットを敷き、根拠のないプロパガンダとうそをまき散らす舞台をお膳立てした」と非難。

 さらにアルバネーゼ氏を名指しし、「国連にあなたがいることが恥であり、すべての道徳規範への裏切りだ。直ちに辞任しなさい。入り口に信任状を置き、あなたが属するハマス(Hamas)やヒズボラ( Hezbollah)の仲間たちに合流するといい」と投稿した。

 特別報告者は国連人権理事会(UN Human Rights Council)によって任命されるが、個人資格の独立した専門家で、国連を代表する立場にはない。

 アルバネーゼ氏は30日、記者会見で自身の正当性を主張。

「私に対する攻撃についてこれ以上議論するのは本当に気が進まない。なぜなら私に関することではなく、私が本題になっているわけでもないからだ。本題は、パレスチナ人が自分の土地から根絶されるリスクに直面しているという事実だ」と述べた。

 さらに、米国が「イスラエルの行動を後援している」と非難した。

 これに対し米国のリンダ・トーマス・グリーンフィールド(Linda Thomas-Greenfield)国連大使はXへの投稿で、アルバネーゼ氏は国連特別報告者として「不適格」だと反発。

「国連は、人権を促進するために雇われた国連特別報告者の反ユダヤ主義を容認してはならない」と続けた。(c)AFP