【9月6日 AFP】通信アプリ「テレグラム(Telegram)」の不適切管理の疑いで、フランスで逮捕・起訴された同社創業者で最高経営責任者(CEO)のパーベル・ドゥロフ(Pavel Durov)被告(39)は5日、当局による起訴の判断について非難した。

 ロシア生まれでフランス国籍も持つドゥロフ被告は、テレグラム上の過激な投稿や違法コンテンツを野放しにしたとして先月24日、パリ郊外のルブルジェ(Le Bourget)空港で逮捕された。起訴内容は「違法取引を可能にするオンラインプラットフォーム運営での共謀」のほか、「児童ポルノ画像の拡散」、麻薬取引、詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)など多岐にわたっている。

 ドゥロフCEOは、逮捕後初めてのコメントとなる長文をテレグラムに投稿。他人(ユーザー)のコンテンツについて自分が責任を問われるのは「驚きだ」とし、「第三者によるSNS上での犯罪でCEOを起訴するために、スマートフォン時代以前の法律に頼るのは誤ったアプローチだ」と批判した。

 また「テレグラムは無法地帯の楽園だ」という見解は「全くの誤り」だと非難。「毎日数百万件におよぶ有害な投稿やチャンネルを削除している」と強調した。

 さらにフランス当局の要請にテレグラムが応じていないという指摘についても否定し、「フランスにおけるテロの脅威に対処するために、テレグラムと仏当局間のホットライン開設を自ら支援した」と述べた。

 その一方で、テレグラムユーザーが現在、世界で950万人に達しているとしながら「成長の痛みとして、犯罪者が悪用しやすくなる事態が起きた」との考えを示し、「だからこそ、この点での大幅な改善を個人的な目標にしている」と続けた。改善は「社内で」既に進行中で、詳細は今後公表されるとした。

 また「8月の出来事(自らの逮捕)が、テレグラムおよびSNS業界全体をより安全で強固なものにするきっかけとなることを期待している」とも述べている。

 ドゥロフCEOは500万ユーロ(約8億円)の保釈金と、フランス国内にとどまり、週2回警察に出頭することを条件に保釈を認められた。

 公の場で話すことがほとんどなく、謎めいた人物とされるドゥロフCEOは、ロシア、フランス、アラブ首長国連邦(UAE)の国籍を保持している。テレグラムの本拠地はUAEに置かれている。(c)AFP/Stuart Williams