【8月28日 AFP】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は27日、中国は新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で依然として「問題のある」政策を導入しているとの見解を発表した。OHCHRは2年前、新疆で「人道に対する罪」が行われている可能性があると指摘する報告書を公表している。

 OHCHRは、スイス・ジュネーブで2023年2月以降、中国当局者と協議を続けてきたことを明らかにした。同協議を受け、ボルカー・ターク(Volker Turk)高等弁務官は今年5月26日から6月1日まで北京に代表団を派遣していた。

 OHCHRのラビナ・シャムダサニ(Ravina Shamdasani)報道官は会見で、代表団は「対テロ政策と刑事司法制度」を中心に中国当局と協議したと説明。

「新疆に関しては、問題のある多数の法律や政策が依然として導入されていると理解している」と述べた。

 OHCHRは中国当局に対し、国家安全保障と対テロ問題に関する法規定の「全面的な見直し」と、少数民族への差別防止を要請。さらに、中国における人権保護の「具体的な進展」と、拷問などの人権侵害が行われている疑いがある実態への調査を求めた。

 ターク氏の前任者のミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)氏は、任期が満了する2022年9月1日午前0時の13分前に報告書を公表。「人道に対する罪に相当する可能性がある」と指摘していた。

 中国側はこれを真っ向から否定したが、同報告書には、拷問や強制的な医療行為、ジェンダーに基づく暴力、強制労働を裏付ける「信ぴょう性のある」証拠が詳細に記されていた。

 シャムダサニ氏は、北京に派遣されたOHCHRチームは新疆および香港の代表団と面会したが、北京以外には足を運んでいないと認めた上で、今後の訪問については協議中と説明した。

 また、協力は「積極的に」行われたが、「不十分な点が多いため、引き続き中国側に働き掛けながら、進展を確認していく必要がある」とし、「一朝一夕に結果は望めない」とも述べた。(c)AFP