中医鍼灸が日本で定着した理由
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【8月12日 CNS】中医鍼灸(しんきゅう)はおよそ6世紀に日本に伝わった。唐代の鑑真和上が日本に渡った際、医学書の『黄帝内経』を携えており、これにより鍼灸を含む中国文化が日本に伝わり、日本の医学発展に大きく貢献した。中医鍼灸が日本で定着した理由は何か?中国と日本の鍼灸にはどのような違いがあるのか?
日本中医鍼灸研究会の賀偉(He Wei)会長によれば、鍼灸はすでに奈良時代や平安時代に盛んに行われていた。安土桃山時代には日本独自の特色を持つ鍼灸が発展し、御園意斎(Isai Misono)や曲直瀬道三(Dousan Manase)などの流派が生まれ、後の日本鍼灸の発展に大きな影響を与えた。江戸時代には徳川幕府の推奨と支持を受け、近年では日本の鍼灸専門学校の数が増加し、ほとんどが三年制となっている。現在、日本の鍼灸教育と臨床実践は成熟している。
中国と日本の鍼灸の手法の違いについて、賀偉会長はこう語る。「日本の鍼灸は非常に細い針を使用し、刺す深さが浅く、刺激が強くない。一方で中医鍼灸は適切な刺激を重視しており、これは医師の技術と経験が求められる。日本の鍼灸は主に痛みの緩和や疲労回復などの保健効果があるが、中医鍼灸はより広範な病状に適用される。抑うつ症などの心理的疾患や麻痺などの難治性疾患に対しても中医は効果が期待できる。」
賀偉会長は中医の家系に生まれ、父が創始した「賀氏鍼灸三通法」を深く理解している。特に火針療法の日本への普及に独自の貢献をしている。火針は古くは「焠刺(Cuici)」と呼ばれ、針の刺激と灸の温熱を兼ね備えた中医の伝統療法であり、強い刺激を伴うため鍼灸医師の高い技術が求められ、普及が難しい。賀偉会長は日本滞在中に「賀氏鍼灸三通法」の専門書を翻訳出版し、火針の普及を推進した。
「数千年の歴史を持つ東洋医学がなぜ今日まで続いているのか?なぜ中医学が中国国内にとどまらず、世界中で広がっているのか?それは中医学が『効果がある』からだ。部分的に原理が解明されていないものもあるが、治療に役立つことは明確だ」賀偉会長は自身の診療所「精誠堂」のウェブサイトに、こうしたメッセージを残している。
賀偉会長にとって、中医学は中国民族が生命と自然との関係を理解する知恵の典型的な代表であり、その発展と普及の秘訣は実際の治療効果にあると考えている。2010年、「中医鍼灸」は国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録された。現在、113の世界保健機関加盟国が鍼灸と中医学の診療法を認めている。鍼灸の理論がさらに明らかになるにつれ、その治療理念と哲学思想は将来の医学において重要な地位を占め、世界中の多くの患者に恩恵をもたらすだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News