【8月7日 AFP】米国をはじめとする西側諸国の大使が、長崎市で9日に開かれる「原爆の日」の平和祈念式典を欠席することが7日、関係者によって明らかになった。

 長崎市の鈴木史朗(Shiro Suzuki)市長は先週、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での紛争をめぐり「不測の事態」が発生するリスクを懸念し、イスラエルのギラッド・コーヘン(Gilad Cohen)駐日大使を式典に招待しない旨を発表した。

 これを受け、在日米国大使館および英国大使館は6日、長崎の式典に大使は出席せず、代わりに格下の外交官が出席すると発表した。

 報道によると、英米ドイツとともに先月、長崎市に懸念を表明する書簡を送ったオーストラリア、イタリア、カナダ、欧州連合(EU)も後に続くものとみられる。

 米国大使館の報道官はAFPに対し、「イスラエル大使を招待しないという長崎市長の判断によって式典が政治化された」ため、ラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)駐日大使(64)は出席を見合わせると述べた。同大使は同日、東京の宗教施設で行われる別の式典に出席する予定だという。

 在日英国大使館も、ジュリア・ロングボトム(Julia Longbottom)大使は欠席するとし、イスラエルを招待しないことは「今年招待されていない他の2か国、ロシアやベラルーシと同様の扱いで不幸な誤解を生む」と批判した。

 また在日フランス大使館の報道官はAFPに対し、長崎の式典には大使館のナンバー2が出席すると述べた上で、「イスラエル代表を招待しないという決定は遺憾であり、疑問だ」と語った。

 鈴木市長は先週、イスラエル大使を招待しないという決定は「政治的な判断に基づくものではなく、式典を厳粛な雰囲気の下、円滑に行いたいという考えだ」と強調。6月には、長崎市からイスラエル大使館にガザ紛争の「即時停戦」を求める書簡を送ったと述べていた。

 コーヘン氏は6日に行われた広島市の平和記念式典には招待され、出席した。同氏は5日、米CNNに対し、不測の事態に関する懸念は「根拠がない」と述べ、「(鈴木氏が)この式典を政治的に利用したことに本当に驚いた」と語った。

 AFPが確認した鈴木氏宛ての書簡の中で、6人の欧米大使らは、もしもイスラエルが排除されれば、「この式典に高位の参加者を送ることは難しくなるだろう」と警告していた。

 林芳正(Yoshimasa Hayashi)官房長官は5日、招待は主催する「長崎市の判断」だと述べ、コメントを避けた。(c)AFP