【8月6日 AFP】パリ五輪のボクシング女子で性別騒動の渦中にあるアルジェリア選手に関し、国際ボクシング協会(IBA)が5日に開いた会見で「男性」だと主張したことについて、アルジェリアオリンピック委員会(COA)は「根拠のない主張」だと非難した。

 アルジェリアのイマン・ヘリフ(Imane Khelif)は台湾の林郁婷(Lin Yu-ting)とともに、昨年行われた世界選手権(2023 IBA Women's World Boxing Championships)の性別検査で失格となったが、国際オリンピック委員会(IOC)にパリ五輪出場を認められ、議論を呼んでいる。二人は現在ともに準決勝まで勝ち残り、銅メダル以上が確定している。

 IBAはガバナンス問題などで五輪の競技運営権を剥奪されており、パリ五輪のボクシング競技はIOCが代わりに運営している。

 IBAはこれまで検査の詳細を明かしていなかったが、この日の会見の中でIBA元医療委員会会長のイオアニス・フィリパトス(Ioannis Filippatos)氏が、2022年に実施した血液検査で両選手から「異常」が検出されたと明かした。IBAによれば、23年に再検査が行われ、その後両選手は失格になった。

 フィリパトス氏は「医学的検査と血液検査の結果は、両選手が男性であることを示しているように見え、検査機関もそのように言っている」「問題は、二つの血液検査の結果が男性のカリオタイプ(核型)を示していることだ。これが検査機関から受け取った回答だ」と発言した。

 IBAは医療機密の制約があるとしつつ、会見は矛盾する内容も多かった。

 この会見を受け、COAは「アルジェリアはIBAのメンバーではない」「われわれはIBAを正当な機関として認めていないし、同協会は五輪とは無関係だ」とすぐさま反発し、「われわれのチャンピオンであるイマン・ヘリフは、IBAの根拠のない主張にも動じることはなく、それにひるむこともない」と述べた。

 IOCはIBAの会見後、AFPの取材に対し、「IBAが開いた会見の内容と運営は、この組織とその信頼性に関して知る必要がある全てを物語っている」と述べた。

 へリフと林は2021年の東京五輪にも出場したが、メダルは獲得できず、騒動に巻き込まれることもなく大会を終えていた。(c)AFP