【8月1日 AFP】長崎市の鈴木史朗(Shiro Suzuki)市長は7月31日、8月9日の長崎原爆の日に実施する平和祈念式典にイスラエルを招待しないと発表した。「政治的な判断」に基づくものではなく、「式典を平穏かつ厳粛な雰囲気の下、円滑に行うため」だと説明している。

 長崎市は6月、多くの国と地域に招待状を発送したが、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)における危機的な人道状況やそれに対する国際世論の状況を踏まえ、「不測の事態」が発生するリスクを懸念し、イスラエルのギラッド・コーヘン(Gilad Cohen)駐日大使を招待するかどうかの判断を保留。代わりに即時停戦を求める書簡を在日イスラエル大使館に送るとしていた。

 鈴木氏は、現時点でもリスクへの懸念に変わりがないとして、「大変苦渋の決断だ」と述べた。

 これに対しコーヘン氏はX(旧ツイッター)で、長崎市長が平和祈念式典にイスラエルを招待しないと決めたのは「遺憾」で、「世界に誤ったメッセージを送る」ものだと主張。「日本の近しい友であり同志国として、イスラエルは過去数年来、長崎市主催式典に出席し、戦争被害者とその家族に敬意を表してきました」としている。

 一方、同じ被爆地の広島市はイスラエルを8月6日の平和記念式典に招待している。ただし、招待状に「一刻も早い停戦」と「対話による問題解決」を呼び掛けるメッセージを添えたという。

 米国が1945年8月に投下した原爆で、広島で約14万人、長崎で約7万4000人が死亡した。原爆投下は第2次世界大戦(World War II)の終結につながった。(c)AFP