【8月1日 AFP】スイスのスキーリゾート、ダボス(Davos)にあるレストランの支配人が、ユダヤ人へのウインタースポーツ用品の貸し出しを拒否したとして罰金を科された。検察が7月31日、明らかにした。

 南東部グラウビュンデン(Graubunden)州の検察は「人種、民族、宗教を理由にサービスの提供を拒否する差別」により、支配人に一部の執行猶予付きの罰金刑が科されたとAFPに明らかにした。

 スイス紙「20 Minuten」は2月、世界経済フォーラム(World Economic Forum)の開催地として知られるダボスにある、豪華なピシャ(Pischa)駅に掲示された看板の写真を掲載。

 そこにはヘブライ語で、そりの盗難などさまざまなトラブルがあったため、「今後、ユダヤ人へのスポーツ用品の貸し出しは行わない」と書かれていた。この方針はそり、エアボード、スノーシューなどすべてのウインタースポーツ用品に当てはまるとして「ご理解のほどよろしくお願いします」と締めくくられていた。

 レストランは同紙の取材に書面で回答し、「ユダヤ人の客がそりを斜面に置きっぱなしにしたり、用具を返却しなかったり、壊れた状態で返却したりする毎日の煩わしさから解放されたい」と説明した。

 スイスメディアが騒ぎ立てたのを受け、支配人は謝罪した上で方針を撤回した。

 罰金額は公表されていない。支配人は不服を申し立てなかったため、裁判には至らなかった。

 現地紙ダボス新聞によると、ダボスでは正統派ユダヤ人の素行に対する批判が高まっている。昨夏は3000~4000人の正統派ユダヤ人が同地で休暇を過ごしたという。(c)AFP