【6月29日 AFP】イタリアのジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)首相は28日、自身が率いる政党「イタリアの同胞」の青年部、「National Youth」のメンバーがファシズムを賛美し、人種差別発言をしていた行動を初めて非難した。潜入取材で明らかになったスキャンダルについて、同氏は2週間以上、沈黙を貫いていた。

 伊ニュースサイト「ファンページ」で今月公開された調査報道では、青年部のメンバーがナチズムやファシズムを支持する場面を捉えた動画も公開された。イタリアの同胞は第2次世界大戦(World War II)後のファシズム運動に起源を持つ。

 潜入記者がローマで秘密裏に撮影した動画では、青年部のメンバーがファシスト式の敬礼や、ナチス・ドイツ(Nazi)のスローガン「ジークハイル(勝利万歳)」の唱和を行い、イタリアの独裁者ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)への支持を示して「ドゥーチェ(Duce)」とシュプレヒコールを上げていた。

 メンバーは特に、ローマのユダヤ人コミュニティーの元広報担当で、現在はイタリアの同胞所属の上院議員を務めるエステル・ミエリ(Ester Mieli)氏をやゆしていた。

 今月13日に調査報道の第1弾が公開されて以降、野党はメローニ氏に対し、こうした行動を非難するよう要求。今週第2弾が公開され、ユダヤ人や有色人種に対する暴言が明らかになってからは、メローニ氏に非難を求める声はさらに高まっていた。

 メローニ氏はベルギー・ブリュッセルで記者団に対し、「人種差別、反ユダヤ主義を唱える者は誰であれ、居場所を間違えている。そうした考えはイタリアの同胞と相いれないからだ」「この問題に関して、私の立場からの考えは、はっきりしている」と述べた。(c)AFP