【7月22日 AFP】バングラデシュの首都ダッカで続く公務員採用の特別枠をめぐる抗議デモと警官隊の衝突で、500人以上が逮捕されたことが分かった。警察が22日、発表した。

 ダッカ警察によると、一連の衝突でこれまでに少なくとも532人が逮捕された。野党バングラデシュ民族主義党(BNP)の幹部数人が含まれているという。

 ダッカではデモの激化を受け、先週末から夜間外出禁止令が出ている。また当局は18日以降、全土でインターネットを遮断している。

 バングラデシュでは公務員採用枠の半数以上が、1971年の独立戦争で戦った兵士の子孫らに割り当てられてきた。この公務員採用特別枠の廃止を求め、今月に入ってからデモが連日のように行われており、最高裁は21日、特別枠を縮小する判断を下した。

 警察と病院の発表をAFPが集計したところ、抗議デモではこれまでに警官数人を含む163人が死亡している。

 事態が拡大する中、特別枠の完全撤廃を求める主要学生グループは22日、抗議デモの48時間の停止を発表した。グループのリーダーはAFPに対し、「この間に、外出禁止令の撤回とインターネットの復旧、そして抗議する学生を標的にするのをやめるよう政府に要求する」とし、「特別枠をめぐり改革を望んだが、これほど多くの血の犠牲、殺りく、生活や財産を犠牲にすることは望まない」と述べた。

 抗議する学生への政府の対応について米イリノイ州立大学(Illinois State University)の政治学者でバングラデシュ専門家のアリ・リアズ(Ali Riaz)教授は、「独立以来、どの政権にもなかった最悪の虐殺」と表現した。

■外交官を呼んで見せた動画

 情報筋によると首都ダッカでは21日、ハッサン・マフムード(Hasan Mahmud)外相が各国大使を呼び、デモ隊による被害に焦点を当てた15分間の動画を見せた。

 暴力の責任を一方的にデモの参加者にかぶせるような発表を受け、外交官らはバングラデシュ当局の対応に疑問を呈したという。

 匿名で取材に応じたバングラデシュ政府関係者によると、米国のピーター・ハース(Peter Haas)大使はマフムード外相に対し、「非武装のデモ参加者に対して警察が発砲する映像を見せなかったことに驚いている」と非難した。

 また国連(UN)の代表は、デモを鎮圧するために国連のロゴが入った装甲車両やヘリコプターが使用された疑惑について質問したが、マフムード氏は答えなかったという。(c)AFP