【9月19日 AFP】ジョージアの大学で心理学を学ぶエレネ・デイサーゼさんは2022年、ティックトックを眺めていた時、自分とうり二つの顔をしたアナ・パンチュリゼさんのプロフィルを見つけた。

 数か月後には、二人はチャットで会話する仲になっていた。共に、自分が養子であることを告知されていた。

 そして昨年、二人はDNA鑑定を受けることにした。その結果、血がつながっているだけでなく、一卵性双生児であることが分かった。

 二人は現在19歳。大学で英文学を学ぶアナさんはAFPに「幸せな子ども時代を過ごしたけど、過去の全てが偽りだったかのように感じる」と話した。

 エレネさんとアナさんは、ただ生き別れになったわけではなかった。ジョージアで数十年間にわたり問題になってきた、違法に売買された乳児のうちの2人だった。全体の数は12万人とされる。

 このスキャンダルをめぐっては、ジャーナリストと被害者家族らが調査に乗りだし、養子縁組が50年以上にわたり、産科医院、保育施設、養子縁組あっせん業者のネットワークによって行われていたことを突き止めた。

 産科などは共謀して、死産だったなどの理由を付けて実の親から子どもを取り上げ、出生記録を改ざんし、国内外の養親に売却していた。

◼️「新しい現実」

 心理学を学んでいるエレネさんはAFPに「姉妹だとは思わず仲良くなったが、お互いに特別な絆を感じていた」と語った。

 二人が養子であることを養親から別々に打ち明けられたのは、昨年の夏だった。アナさんは「私は新しい現実を受け止めたくても、受け入れられなかった。18年間育ててくれた人たちが実の親じゃないなんて」と話した。

「でも怒りは全然感じていない。育ての親には感謝しかない、そして血縁者を見つけられたことがうれしい」