わずか85.48グラムの月土壌サンプルから得られた重量級の成果=中国
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【7⽉13⽇ Peopleʼs Daily】嫦娥6号(Chang’e-6)帰還機は6月25日、内モンゴル(Inner Mongolia Autonomous Region)の四子王旗の予定エリアに着陸した。中国は嫦娥6号により、世界で初めて月裏側からのサンプリングリターンを成功させた。
中国が月の土壌のサンプルリターンを初めて成功させたのは、2020年12月17日に帰還した嫦娥5号(Chang’e-5)によってだった。持ち帰ったサンプルの総重量は1731グラムで、うち85.48グラムが中国国内の131の研究チームに配布された。わずかな量ではあるが、これまでに得られた研究成果は「重量級」だ。
嫦娥5号が採取したのは、マグマが噴出して固化した岩石だ。形成された時期は10億~30億年前と推定されていたが、不確かだった。中国の研究チームは独自開発の手法により月の土壌サンプルの玄武岩が20億年前に形成されたとの結論を得た。この結論は、月の火山活動の終了時期を約8億年遅らせるものだった。
これまでの探査機の観測により、月表面に水が普遍的に存在することは分かっていた。しかし、サンプルを直接分析した証拠が不足していたため、月表面の水の成因と分布については不確かだった。
中国科学院地球化学研究所の科学研究チームは、嫦娥5号が持ち帰った鉱物の表層に太陽風による陽子注入により形成された水が大量に存在することを発見した。太陽風由来の水の含有率は少なくとも179ppmだった。このことは、月の土壌1トン当たりに少なくとも170グラムの水が含まれることを意味する。そして、水の存在が特に多いことが知られる月の高緯度領域には、利用可能な水資源が存在する可能性が高まった。
核融合燃料としての利用が期待されるヘリウム3は地球上では存在が極めて少ないが、月には比較的豊富に存在する。科学者は嫦娥5号による月土壌サンプルの温度を段階的に上げてヘリウム3を抽出することで、ヘリウム3の最適な抽出温度曲線を確立した。このことは、今後の月面ヘリウム3の資源総量の算出およびヘリウム3資源の探査開発の基礎になる。
中国核工業集団(CNNC)核工業北京地質研究院の月土壌サンプル研究チームは、14万個の月土壌の粒子の中から、粒子径約10マイクロメートルの単結晶粒子を分離し、その結晶構造を解明した。この粒子は、国際鉱物学連合(IMA)の新鉱物命名および分類委員会でも新鉱物であることが承認され、「嫦娥石」と命名された。「嫦娥石」は人類が月面で発見した6番目の新しい鉱物だ。
人類は嫦娥6号より前に月の土壌サンプルの回収を計10回行ってきたが、いずれも地球から見て月の表側のサンプルだった。嫦娥6号は月の裏側の南極エイトケン盆地(South Pole-Aitken Basin)に着陸した。この場所は月で最も古く、かつ最大の隕石(いんせき)衝突クレーターだ。嫦娥6号が月の裏側からサンプルを持ち帰ることにより、人類は月研究の空白を埋め、月の成因と太陽系の進化に対する知見を深めることになる。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News