【7⽉10⽇ Peopleʼs Daily】北京インターネット裁判所は4月、中国初の「AI音声」による権利侵害についての判決を言い渡した。原告は声優で、被告である北京市内のある会社は原告の声をAIで加工して音声サービスに用いた。裁判所は被告に対して、合法的な権利取得をしていなかったとして、原告への25万元(約560万円)の賠償と書面による謝罪を命じた。

 AIによる創作では研究開発の段階での訓練データの著作権の問題もある。また、AI生成コンテンツにはスタイルの模倣の問題もある。これまでに、AIによるゴッホ(Vincent van Gogh)風の絵や有名歌手の歌の模倣などが、各界の議論を引き起こした。

 北京インターネット裁判所は2023年11月、AIが生成した画像が自然人の独創的な知的投入を示すことができれば著作物と認定され、著作権法の保護を受けるべきであるとの判断を初めて示した。

 北京インターネット裁判所総合裁判第3法廷の顔君(Yan Jun)副法廷長は、裁判所が受理した生成AIによる権利侵害案件について、「基本的に新たなタイプの案件であり、多くは『全国初』です。AI生成コンテンツが著作権保護の対象になるかどうかが各界の論争の焦点になっています」と説明した。

 北京大学(Peking University)法学院の張平(Zhang Ping)教授は、「AI生成コンテンツが示す個性的な要素や創作者の貢献度や創作要素などは個々のケースで異なっていて、一概には言えません。生成コンテンツが独創性の判断基準に達し、著作権についての要求を満たしてこそ、著作権法による保護を受けることができます」との考えを示した。

 張教授によれば、現行の著作権制度は人による知的成果を判断基準としており、AIによる生成についての基準は十分に整っていない。AIによるコンテンツ生成の法適用は著作権者の利益と密接に関連するだけでなく、産業の発展や技術の進歩にも関わる。保護と発展の間のバランスをいかに取るかで、関係各方面の知恵が試されている。

 各方面の権益にいかに配慮し、AI創作の活力を十分に引き出すか。張教授は、法整備をまず行うことでAI生成コンテンツの著作権保護範囲と基準を明確にし、データ訓練過程における規範的管理を強化することができると述べた。次の段階はAI産業の発展に適応した責任分担メカニズムを模索することであり、さらにはデータ共有プラットフォームを構築し、データの合理的な使用と認可を奨励し、業界の自律と多国間での協力を推進し、AI創作分野の健全な発展を促すことが必要という。

 張教授は、「AI創作の興隆によって従来型の知的財産権の体系が突き付けられた挑戦は不可避のものです。ただし解決は可能です。AI創作における各段階の財産権の保護規範を明確にし、関連各方面の利益のバランスと共有の仕組みを形成し、AI創作の発展を保護し推進することが重要です」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News