【6月2日 AFP】中国の董軍(Dong Jun)国防相は2日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で演説し、南シナ海(South China Sea)情勢やアジア太平洋地域での弾道ミサイル配備の動きをめぐり、中国の自制にも「限界」があると警告した。

 董氏はフィリピンと米国を念頭に、「中国は権利侵害や挑発を前にこれまでは十分に自制してきたが、限界というものがある」と述べた。

 同盟関係にある米、フィリピン両国は、中国の軍事力や影響力の増大に対抗して防衛協力を強化している。

 南シナ海に位置するフィリピンは台湾にも近いことから、米国はアジア太平洋地域での同盟とパートナーシップを強化する上でフィリピン支援を重視。これが中国側の反発を買っている。

 米陸軍は4月、迎撃ミサイル「SM6」や巡航ミサイル「トマホーク(Tomahawk)」を発射できる中距離ミサイル装置を年次合同演習のためフィリピン北部に配備したと発表した。

 董氏は「中距離弾道ミサイル」の配備について、「地域の安全と安定を著しく損なう」と語り、「そうした行動をすれば最終的には自らやけどを負うことになる」と非難した。

 また、領有権が争われている南シナ海の一部海域で中国、フィリピン両国の船舶による衝突が相次いでいるのを受け、同海での中国の自制にについても「限界」があると警告した。(c)AFP