米中国防トップ、シンガポールで直接会談 約1年半ぶり
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【5月31日 AFP】米中の国防トップが31日、シンガポールで異例の直接会談を行った。両者の直接会談は約1年半ぶり。
米国側の関係者によると、ロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官と中国の董軍(Dong Jun)国防相は、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議(通称:シャングリラ会合)の会場となっているホテルで現地時間午後1時(日本時間午後2時)前に会談を開始した。
米国のジョー・バイデン(Joe Biden)政権と中国は摩擦を和らげるためにコミュニケーションを強化している。先月はアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官が北京と上海を訪問した。
両国間の対立でまず挙げられるのは台湾問題だが、中国は今月就任した台湾の頼清徳(Lai Ching-te)総統を「危険な分離主義者」と呼び、台湾を包囲する形で軍事演習を行うなど圧力を強めている。
中国はまた米国がアジア太平洋諸国、特にフィリピンとの防衛関係を深め、台湾海峡(Taiwan Strait)や南シナ海(South China Sea)に艦船や戦闘機を配備していることに憤りを示している。
こうした中、4月の電話会談に続いて行われた両国防トップの直接会談には、緊張緩和のに向けたさらなる軍事協議への期待が寄せられることとなった。
また両者は今週末のシャングリラ会合での演説で、さまざまな圧力要因についてそれぞれの立場から言及すると予想されている。
会談終了後、中国国防省報道官は「前向きで実質的、建設的」な話し合いだったと述べた。
また中国国防省によると、董氏は会談中、ロイド氏に対し、台湾をめぐる米国の行動は「一つの中国」の原則に著しく反していることを指摘した。
その一方で同省は、米中両軍間のコミュニケーションが重要だとの認識で両者一致したとし、会談を肯定的に評価した。(c)AFP