【5月27日 AFP】イスラエルは27日、在エルサレムのスペイン領事館に対し、6月1日からパレスチナ人向けの領事業務を停止するよう通告したと発表した。スペインがパレスチナ自治区を国家として正式に承認すると表明したことに対する「懲罰的」措置だとしている。

 イスラエル外務省は声明で、エルサレムのスペイン領事館は「エルサレムの領事管轄区域の住民にのみ領事業務を提供する権限が付与されており、パレスチナ自治区の住民に対する業務の提供や外交活動の権限はない」と主張している。またこの措置は6月1日から適用されると述べた。

 イスラエル・カッツ(Israel Katz)外相は別途声明で「スペイン政府によるパレスチナ国家承認を受け、本日、エルサレムのスペイン領事館に対する予備的な制裁措置を実施した」と述べた。

 また同氏は「イスラエルの主権と安全保障に対する侵害は看過できない」「(イスラム組織)ハマス(Hamas)に報奨を与え、パレスチナ人によるテロ国家を樹立しようとする者は、誰であってもパレスチナ人と接触させない」と述べた。

 スペインは、ガザ紛争をめぐりイスラエルに最も批判的な欧州諸国の一つ。アイルランド、ノルウェーと共に5月28日からパレスチナを国家として正式に承認すると発表し、イスラエルが強烈に反発した。

 スペインのホセ・マヌエル・アルバレス(Jose Manuel Albares)外相は26日、パレスチナ国家承認という決定の正当性を強調。この承認は「パレスチナの人々にとっての正義であり、イスラエルにとっても安全保障の最善の保証である」と述べた。

 同日、欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表(外相)は、パレスチナ自治政府のムハンマド・ムスタファ(Mohammed Mustafa)首相を招き、最終的にマハムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長率いるパレスチナ自治政府が、ガザ地区(Gaza strip)の統治をハマスから引き継ぐことを念頭に国際協議を行った。

 他方で25日、スペインはイスラエルに対し、国際司法裁判所(ICJ)が出したガザ地区最南部ラファ(Rafah)への攻撃停止命令に直ちに従うよう求めている。

 イスラエルの軍事作戦が「ジェノサイド(集団殺害)」に相当すると主張する南アフリカが提起した訴訟で、ICJは24日、イスラエルにラファへの攻撃を停止するよう命令した。(c)AFP