【5月23日 AFP】サッカーイタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)は22日、オーナーを務める中国の蘇寧(Suning)グループが数億ユーロの債務不履行となったため、米国の投資会社オークツリー・キャピタル(Oaktree Capital Management)に経営権が譲渡された。

 オークツリーは「2024年5月21日が返済期限となる総額約3億9500万ユーロ(約670億円)のインテル持ち株会社への3年間の融資」の返済がなされなかったことを受け、クラブの「支配権を引き継いだ」と発表している。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)により欧州中のクラブが財政に損害を受ける中、中国小売り大手の蘇寧グループは3年前、選手やスタッフへの給与支払いのために、クラブの支配権を担保として12パーセント超の金利で2億7500万ユーロ(約467億円)をオークツリーから借り入れていた。

 2016年に蘇寧グループがインテルの株式約68パーセントを取得してから、クラブは国内外で強さを発揮。リーグ戦2度の優勝など七つのトロフィーを獲得し、欧州大会では2度決勝に進出した。また今季は、地元の宿敵ACミラン(AC Milan)とのダービーを制して、5試合を残して通算20回目となるリーグ制覇を果たしている。

 総額1920億ドル(約30兆円)の資産を管理するオークツリーは、「インテルの現経営陣、パートナー、リーグおよび運営団体と緊密に連携し、クラブがピッチ内外で成功を収められるよう尽力する」と述べている。

 その後、インテルのジュゼッペ・マロッタ(Giuseppe Marotta)最高経営責任者(CEO)らがオークツリー側の経営責任者2人と面会し、満面の笑みを浮かべている写真が撮影されており、当面には抜本的な変化は起こらないという明確なメッセージが送られている。

 一方でオークツリーは、クラブの「長期的な成功」に向けて取り組むとしつつ、「当初は運営と財務の安定に重点を置く」とし、倹約する時期に向かうことも示唆している。

 インテルはパンデミックによりスタジアムが全面的、または部分的に閉鎖されたため、2020-21シーズンは2億4560万ユーロ(約416億円)、21-22シーズンは1億4000万ユーロ(約238億円)、22-23シーズンは8500万ユーロ(約144億円)の損失を計上している。

 安定を語るとするならば、今季リーグ戦得点王争いでトップに立つ主将のラウタロ・マルティネス(Lautaro Martinez)を含む、スター選手たちの今後について臆測が流れるのは必至だろう。

 現契約が2026年に満了となるマルティネスは21日、伊紙ガゼッタ・デロ・スポルトに対し、次週にも契約延長を期待していて、契約を結びたいとしたものの、「クラブの状況によってはすべてが遅れる可能性も」あると述べた。

 マロッタ氏らとも「話し合っているが、オーナー次第」とコメントしたマルティネスは、「様子を見よう。今から来週までの間に何が起こるか分からないが、僕らには何の問題もない」と続けた。(c)AFP