中国伝統医薬産業、AIで発展加速 基盤モデル発表
このニュースをシェア
【5月18日 Xinhua News】中国の伝統医薬(中医薬)産業が近年、人工知能(AI)などの新技術と結びつき、急速な発展期を迎えている。
天津市でこのほど開催された「第4回中医薬国際発展大会」では、同市に本社を置く医薬品メーカーの天士力医薬集団とファーウェイクラウド(華為雲)が共同開発した中医薬のAI基盤モデル「数智本草」が発表された。380億のパラメータに基づき、中医薬の膨大なテキストデータの学習を通じ、製剤の最適化、メカニズムの詳説、新たな適応症の正確な発見を実現する。
天士力医薬集団の閻凱境(えん・がいきょう)董事長は「クラウドコンピューティングや基盤モデルなどの新しい技術手段を用いることで、中医薬の理論と現代化研究の全面的な分析を実現し、革新的な製剤の研究開発を加速し、AIによる新たな研究開発のパラダイムを構築できる」と述べた。
中国では現在、多くの中薬メーカーが先進的な科学技術を活用し、生産のデジタル化、大規模化、標準化、集約化を実現、現代版中薬の品質標準化システムを構築している。
天士力医薬集団の工場では、生産ラインに高周波振動スクリーン技術を導入し、中薬の抽出液を細い線のように均一な速度で冷媒に滴下、サイズと重量がそろった丸剤を1分間に7万粒生産している。同集団の朱永宏(しゅ・えいこう)総裁によると、生産プロセスでは2100個のセンサーでデータを収集し、丸剤の均一的で高い品質を確保している。
同じく中薬メーカーの天津宏仁堂薬業の工場では、切れ目なく現れる硬カプセル剤がトレーに整然と並べられ、全自動スマート包装生産ラインに運ばれ、二重アルミニウムフィルムで包装されている。同じサイズと重量のカプセル剤を毎分3万個以上生産できる。
一部の中薬メーカーは生産工程にとどまらず、原材料のトレーサビリティー、スマート検査、アフターサービスなど、川上から川下までをカバーしたデジタル管理システムを構築している。
津薬達仁堂集団が製造する「速效救心丸」のパッケージには、トレーサビリティーを可能にする2次元バーコードがついている。同集団の張銘芮(ちょう・めいぜい)董事長は、消費者はスマートフォンでコードをスキャンするだけで、中薬の原材料の産地や生産・加工、輸送、品質検査などの流れを明確に把握でき、医薬品監督管理部門も医薬品の品質を全プロセスにわたりチェックできると語る。
中国工程院院士(アカデミー会員)で現代中薬創製全国重点実験室主任の張伯礼(ちょう・はくれい)氏は「デジタルインテリジェンス技術を活用し、有名で優れた中薬製剤の二次開発に取り組み、臨床的位置づけの不正確、薬効成分の不明確、作用メカニズムの不明瞭などの問題を解決してきた。すでに全国19省で100社近くの企業に導入され、生産額1億元(1元=約22円)を超える中薬は95種類から500種類以上に増えた」と述べた。
中国国家中医薬管理局は2022年、「第14次5カ年規画(十四五、2021~25年)期間の中医薬情報化発展計画」を発表し、中医薬の鍵となるデジタル技術上の課題解決を加速することを打ち出した。
同局の閻樹江(えん・じゅこう)副局長は、中医薬とデジタル技術の結合と相互促進を進め、データ要素の相乗効果を発揮し、中医薬の可能性を掘り起こすと同時に時代に合った形で提示し、膨大なビッグデータを通じて中医薬の理論のブレークスルーと技術のアップグレードをけん引する必要があるとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News