【5月15日 CNS】中国酒造会社大手の貴州茅台酒集団(Kweichow Moutai Group)の経営陣の交代が4月29日夜に公表された。同社生え抜きの張德芹(Zhang Deqin)氏が新会長に決まり、現会長の丁雄軍(Ding Xionjun)氏は貴州省市場監督局(貴州省知識産権局)の局長に異動した。

 貴州茅台は6年間で4人目のトップを迎えることになる。交代する丁氏は2021年8月30日、当時貴州省エネルギー局局長から前任の高偉東(Gao Weidong)氏の後を引き継ぎ、47歳で貴州茅台史上最年少の会長に就任した。

 丁氏の前任者2人はいずれも終身刑を宣告されていた。2019年、当時のトップだった袁仁国(Yuan Renguo)元会長は公職から追放され、2021年に収賄罪で終身刑を言い渡された。2022年には同じくトップだった高氏も収賄罪で公職から追放され、今年2月に終身刑を言い渡されている。

 かつて丁氏が茅台酒造の会長に就任した日、貴州茅台の株価は0.63パーセント下落して取引を終え、時価総額は2兆元(約43兆円)を下回り、3年ぶりの安値付近となった。これは当時の茅台の将来への市場の懸念も反映していた。

 最年少の茅台会長は2年8か月の在任中に何を残したのか?丁氏は価格管理策を改善し、利益を増やす計画を立てた。茅台の工場出荷価格が上がらない場合、4599元(約9万8659円)の超高級茅台などの新製品を相次いで市場に投入し、値上げ戦略を構築した。

 丁氏はオンライン販売チャネルも開設した。この若き会長は茅台に「Z時代の風」を吹き込むことにも力を入れており、茅台アイスクリーム、茅台チョコレートなどの人気商品を次々と発売した。

 丁氏による一連の改革は、貴州茅台市にも新たな変化をもたらした。貴州茅台の財務報告によると、2023年のオンライン部門の売上収益は前年比88パーセント増。直販チャンネル全体の収益も前年比36パーセント増加した。

 丁氏が去り、張氏が戻ってきたことで何が変わるのか。2023年以降、酒類業界全体が深刻な調整期に入っている。市場の需要と売上は低迷し、在庫削減が業界の焦点となっている。

 これらの問題は後継者の張新会長に引き継がれている。51歳の張氏は工場勤務も経験した同社の生え抜きだ。

 張氏は1995年に貴州大学(Guizhou University)で発酵工学を専攻し卒業し、その後貴州茅台有限公司に入社し、酒造工房の副所長などを歴任した。その後、貴州茅台蒸留所の総支配人補佐や貴州茅台の子会の会長なども務めている。

 酒類業界アナリストの蔡学飛(Cai Xuefei)氏は「張氏は茅台の体制内で育った指導者であり、茅台体制の運営や内外の環境に精通していることを考慮すると、茅台の将来の発展戦略にとって重要で画期的な価値を持っているといえる」と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News