【5月14日 東方新報】中国の有名なミルクティーブランド「香飄飄(Xiangpiaopiao)」は、最近日本の原発廃水の海洋放出を風刺したラベルをボトルに貼って、中国の消費者から脚光を浴び、株価が続騰し、公式のライブ配信の売り上げが400倍にも跳ね上がった。

 しかし直ぐに、この「とてつもない大儲け」に対する議論がわき上がり、「やらせ」「愛国心利用のマーケティング」などの疑問の声が増加している。一部のメディアは「消費市場で大衆の愛国心を愚弄するような販売手法には大きな疑問がある」と評論している。

 一部の中国メディアの報道で、香飄飄ブランドの果汁入り茶飲料「MECO」が、東京都心の大久保の商店で、「恥知らず」「0.1パーセントの陸地が70パーセントの海を汚染する」「海は日本の下水道ではない」などの風刺スローガンを日中2か国語で印刷したラベルを貼って売られていたという情報が流れた。この件についてすぐに激しい議論が起こり、関連トピックスが微博(ウェイボー、Weibo)で熱い話題となり、ホット検索ワードに躍り出た。

 香飄飄は5月4日、この件に関して、SNSを通じて「スタッフの皆さん、お疲れ様でした」というコメントを出した。また5月5日には、あるネットユーザーから、同社の蒋建琪(Jiang Jianqi)董事長が空港で、日本に派遣した従業員の帰国を出迎えるため看板を掲げている姿を撮影した写真が投稿された。

 この事件が有名になるにつれ、香飄飄にはソーシャルネットの流量と利益とが流れ込んだ。データ会社の情報によれば、5月4日、5日の2日間で、数百万人のネットユーザーが同社の旗艦店の公式ライブ販売に集中し、1日の売り上げはそれまでの2500元(約5万3984円)から100万元(約2159万円)に爆増した。その中で、日本で売られたとして有名になった「MECO」は数千本を売り上げたという。

 しかしその後この件は「やらせだ」との疑いが起こった。あるネットユーザーは「日本で売られていたという風刺ラベルを貼ったボトルは、日本の中国人向けの店で売られただけで、しかも売られた本数はわずか数本だけだった」と投稿している。ある中国メディアが、その日本の商店に直接電話をしたところ、そんなラベルを貼ったボトルは売ったことがないとの返事があったという。

 この事件について、メディア業界の著名人・胡錫進(Hu Xijin)氏は「香飄飄がやらせ営業で国民の愛国心を愚弄するようなトリックを用いたとしたら、それは大いに疑問である」と指摘している。

 胡氏は「我々は日本が原発廃水を海に流したことに堂々と正面から反対し、非難している。外交的な対抗措置だけでなく、世論も激しい批判を浴びせている。しかし、偽装したラベルを付けて日本の商店で売られているように装うことは、商業的利益のために消費者を欺く重大な企業倫理違反の行為だ」と強調している。

 またある業界関係者は「今回の事件はブランドイメージに対して難しい問題をもたらす可能性がある。香飄飄は今後、ブランド戦略と市場対策を慎重に行う必要がある」と指摘する。

 2005年に設立されたミルクティーの香飄飄は、かつては「ボトルを並べれば地球を〇○周できる」というキャッチフレーズで、消費者によく知られたブランドだった。しかし近年、新たな茶飲料のブランドが台頭してきたため、同社の商品販売に大きな圧力がかかっていた。

「愛国」は個人と企業の責任と義務だが、それを営業手段にしてはならない。今回香飄飄が「愛国営業」で一時的に大衆から目立つようになり、販売量も一時的に伸ばしたが、その効果は長続きするはずがない。

 ソーシャルネットの情緒は理性的とは言えないが、企業の行動は理性的であるべきだ。「愛国心を利用する手法」は正当なビジネスになってはならない。正しい道を歩む「実践的努力」が企業発展の核心だ。一時のブームが去った後になお競争に耐えられるのが、本物の商品なのだ。(c)東方新報/AFPBB News