【5月1日 Xinhua News】中国科学院紫金山天文台は4月29日、中国初の総合太陽探査衛星「夸父1号(ASO-S)」が打ち上げられてから1年余りの間に、太陽フレアのうち可視光で観測される白色光フレアを100回以上観測したと発表した。観測回数は、白色光フレアの発生頻度についての従来の予想を大幅に上回り、宇宙天気予報にとって重要な科学的意義を持つ。

 白色光フレアとは、可視光の連続スペクトル放射で増強される一種のフレアを指す。これらのフレアは通常、エネルギーが高く、その出現は地上通信の障害や中断を引き起こし、宇宙船の正常運用に支障をもたらすなど宇宙天気に影響を与えることがある。

 「夸父1号」の打ち上げ以前に観測・報告されていた白色光フレア現象は約300回にとどまり、フレアの総発生回数に占める割合は低かった。

 「夸父1号」衛星チームは、2022年10月から23年5月にかけて発生した205回の比較的高エネルギーのフレアを分析し、49回の白色光フレアを識別した。白色光フレアの発生率は24%で、これまでの観測データよりはるかに高い。太陽活動のピーク年を迎える中、白色光フレアと識別されるフレアはますます増加している。「夸父1号」に搭載された太陽望遠鏡の白色光望遠鏡(WST/ASO-S)は23年12月末までに、白色光フレアを120回以上観測し、物理的本質を探求するためのサンプルを提供した。

 「夸父1号」プロジェクトの首席科学者を務める甘為群(かん・いぐん)中国科学院紫金山天文台研究員は、「夸父1号」の観測データについて、白色光フレアがこれまで考えられていたほど珍しいものではないことを示していると説明。次のステップでは、衛星チームは中国の宇宙天気予報に理論的根拠を提供するため、引き続き他の衛星の多波長観測と組み合わせ、白色光フレアを包括的に研究していくと述べた。

 関連する研究結果は、国際学術誌「ソーラー・フィジックス(Solar Physics)」 および「アストロフィジカルジャーナル・レターズ (The Astrophysical Journal Letters)」 に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News