【3月15日 CNS】中国企業が開発した5人乗りのeVTOL(電動垂直離着陸機)「盛世竜」が最近、広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)の蛇口郵船母港から飛び立ち、約20分の飛行の後、珠海市(Zhuhai)の九洲港に着陸した。地上での車両移動で2.5~3時間かかる距離が空中移動では約20分に短縮された。これは世界初となる都市間eVTOLのデモ飛行成功を意味する。

 eVTOLは「空中タクシー」とも呼ばれ、無人運転ができる上に空港や滑走路は不要だ。ヘリコプターのように垂直に離着陸し、空中で固定翼飛行モードに切り替えることができる。

 この技術は、都市内および都市圏間のポイント・ツー・ポイントの移動を実現することを目指しており、将来的には空中移動の重要な手段となって、新たな巨大市場を形成することになりそうだ。

 2023年の中国共産党・政府の重要経済会議「中央経済工作会議」では、バイオ産業、宇宙産業と並び「低空経済」を産業として戦略的に発展させていく方針が決まっている。ある白書によれば、2025年までに低空経済は中国経済に対して年間3兆元(約62兆円)から5兆元(約103兆円)の効果があると予想されている。

 北京市から上海市など大都市間の移動についても、従来の高速鉄道と航空交通に比べて、より便利で迅速なeVTOLなどの利用が研究されている。中国政府の各部門は、「環境にやさしい航空産業の発展に関する指針(2023~2035年)」を発表し、eVTOLを立体交通ネットワークに位置づけて、安全で便利で環境に優しい都市空輸システムの構築を目指している。

 地方レベルでも、広東省の中長期計画には、広州市(Guangzhou)、深セン市、珠海市を中心にして、ドローン産業を拡大・強化することが盛り込まれている。上海なども研究を進めており、中国の各都市がeVTOLなどで結ばれる日も近そうだ。(c)CNS-光明日報/JCM/AFPBB News