【3月4日 AFP】ロシア・モスクワでは3日も、北極圏の刑務所で先月死亡した反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が埋葬されたボリソボ(Borisovo)墓地に献花しようと人々が長い列をつくった。

 同日午後には、墓参の列が約500メートルに及んだ。手向けられた色とりどりのバラやカーネーションは2メートルほどの高さにまで積み上がり、墓石の十字架はほぼ埋もれた。

 ロシア当局は、ウクライナへの全面侵攻開始後、政権に批判的な市民に対する弾圧を強化してきた。墓地にはこの日も警察が配備されたが、前日までに比べれば少なく、多数が拘束される動きは見られなかった。

 墓を訪れた市民は、怒りや悲しみ、希望、絶望などさまざまな感情をあらわにした。

 エンジニアの男性(29)は、大勢の人が墓地を訪れているのは「自分たちが失ったものの大きさ、彼の偉大さ、彼がこの国のためにしてくれたことを感じ取っていることの表れ」だと語った。

 年金生活者の女性(65)は「仲間がたくさんいるのが分かってうれしい」「みんな彼のことを愛している。誰もが自分の気持ちを示したいと思っている」と話した。

 デザイナーの女性(28)は、「私たちの国で今こんなことが起きているのも、みんなが彼を悼むことになったのもすごく残念。何もかも終わってほしい。悲惨な出来事が終われば、いつかようやく私たちも平和で幸せに暮らせるようになるかもしれない」と語った。

 ナワリヌイ氏が埋葬された1日にも来たというグラフィックデザイナーの女性(25)は、大勢の市民が墓を訪れていることに勇気付けられたと言う。

「つらいけれど、内側で何かがみなぎってくる気がする。諦めたくないし、諦めない。アレクセイも私たちにそう呼び掛けていた」と話した。(c)AFP