【3月1日 AFP】サッカースペイン1部リーグ、アトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)のサポーターの男が、レアル・マドリード(Real Madrid)に所属するビニシウス・ジュニオール(Vinicius Junior)のユニホームを着ていた8歳の少女への人種差別行為で逮捕されたと、同国警察が29日に明らかにした。

 事件が発生したのは、昨年9月24日にアトレティコの本拠地シビタス・メトロポリターノ(Civitas Metropolitano)で行われたマドリードダービーの試合前。警察によると、逮捕された男はおばと一緒にスタジアム近くにいた少女を「攻撃した」疑いが持たれている。

 警察は、少女がビニシウスの名前入りユニホームを着ていたことを理由に、男が「人種差別的な侮辱と殺害の脅迫」をしたとしている。男は少女を抱いていた人物の腕を「2度殴った」疑いもあり、「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」として捜査を受けている。

 事件後、レアルは少女を本拠地サンチャゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabeu Stadium)に招待し、ビニシウスら所属選手とフロレンティーノ・ペレス(Florentino Perez)会長の同席の下でユニホームをプレゼントした。

 ブラジル代表のビニシウスは、これまでに何度も人種差別の被害に遭っており、スペインサッカー界における差別との闘いのシンボルとなっている。

 昨年1月のアトレティコ戦の前には、首都マドリードの橋にビニシウスの人形がつるされ、4人が逮捕された。同5月のバレンシア(Valencia CF)戦でも、同選手がファンから人種差別的な言葉を浴びせられる騒動が起きている。(c)AFP