ご飯分かち合い運動本部(c)MONEYTODAY
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【02月26日 KOREA WAVE】20日の昼過ぎ、ソウル東大門区(トンデムング)の多一(ダイル)共同体「パプポ分かち合い運動本部」。建物の入り口で、イ・ミョンシンさん(49)が「これおいしいですよ」と言って、食事を終えて出て行くお年寄りの手に、干しリンゴ2袋を握らせた。包装紙の文句がすべて英語で書かれているため、お年寄りが「これは何ですか?」と尋ねると、イ・ミョンシンさんの夫キム・ジョンウンさん(53)も出てきて「リンゴを干したものです」と説明した。

息子のキム・セイさん(20)とキム・テヒさん(17)も慣れた手つきでおやつを渡した。2004年2月14日に結婚した夫婦は、新婚旅行の休暇5日間を、バプポでボランティア活動をしながら過ごした。子どもを身ごもった時も、出産後も、毎年この時期にここを訪れた。長男の1歳の誕生日祝いもパプポで開いた。

夫婦は教会で初めて出会った。イ・ミョンシンさんは、髪の長い男性が好きではなかったが、当時、キム・ジョンウンさんは肩まで届く丈のパーマヘアだった。キム・ジョンウンさんの髪は付き合って100日目に顎のラインまで短くなり、8カ月目にスポーツカットに変わった。スポーツカットヘアをしたころ、彼らは夫婦の縁を結んだ。

キム・ジョンウンさんが結婚観を説明するには3泊4日がかかった。新婚旅行の代わりにボランティアをする時間を持とうという計画がその一部だった。家族や友人などでない人々ともコミュニケーションを取りたいという理由だった。イ・ミョンシンさんもその理由に共感した。その代わり、週末を含め3日間は済州島に行ってくることにした。

ボランティアを計画してきたわけではない。ただ毎年2月14日が近づく週末になると、バプポに足が向かった。大企業で研究に携わるキム・ジョンウンさんに連れ添って家族全員が中国・煙台で暮らした時もボランティアをやめなかった。寄付した金も1億ウォン(約1100万円)にのぼる。子どもたちもおのずと親に従った。

イ・ミョンシンさんは「パプポには、引退したあともボランティアする方や、仕事がない時に朝から出てきて配膳を準備する中3の友人もいる。私たちが注目されるのが少し気恥ずかしい。私たちは知られなくても、忘れられても構わない。ただ来ては帰る人に過ぎない」。パプポはずっとこの場にあることを願う――こう伝えた。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News