【2月22日 AFP】昨年10月7日のイスラム組織ハマス(Hamas)による越境攻撃で死亡したイスラエル人男性ヨナタン・サメラノさん(21)の母親が21日、国連(UN)機関の職員がヨナタンさんの遺体をパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)へ運び去ったと非難した。

 サメラノさんは、イスラエル南部ネゲブ砂漠(Negev Desert)で開催されていた音楽フェスティバル「スーパーノバ(Supernova)」に対するハマスの攻撃からは逃れたが、近くのキブツ(生活共同体)、ベエリ(Beeri)で殺害された。

 イスラエル政府は、サメラノさんの遺体を白い小型四輪駆動車に引きずり込む場面を捉えた動画に映っていた男は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のソーシャルワーカーだったと指摘している。

 イスラエルは先月、多くのUNRWA職員がハマスの襲撃に加わったと非難した。これを受け数か国がUNRWAへの資金拠出を停止し、二つの調査が行われることになった。

 サマラノさんの母親アイエレットさんはテルアビブで記者会見し、息子の遺体の返還を求めた。

 アイエレットさんは「世界に善を広めるとうたう組織のソーシャルワーカーが、どうしてこれほど残酷で非人間的なことができるのか」「息子のか細い体を地面に引きずり、まるで戦利品であるかのようにガザに運び去ったこの男に、どうして国連は報酬を支払うことができるのか」と非難した。

 イスラエルは先週、ハマスの攻撃に関与したとするUNRWA職員について、さらに詳細を明らかにした。動画に映っていた男の名前はファイサル・ムサレム・ナアミ(45)で、ソーシャルワーカーとしてUNRWAに勤務しているが、ハマスの戦闘員でもあったとされている。(c)AFP