【2月9日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は8日、軍トップのワレリー・ザルジニー(Valery Zaluzhny)総司令官を解任した。2022年2月にロシアに侵攻されて以来、ウクライナ軍指導部で最大の人事。

 後任には、2022年秋に北東部ハルキウ(Kharkiv)州での電撃的な反転攻勢を指揮したオレクサンドル・シルスキー(Oleksandr Syrsky)陸軍司令官を充てるという。

 ゼレンスキー氏はSNSに、「われわれはきょう、軍の何を変える必要があるか、率直に話し合った。緊急の変更だ」と投稿。「ザルジニー大将には、ウクライナ国家のチームの一員であり続けてほしいと申し出た」「同意してもらえるとありがたい」と付け加えた。

 ザルジニー氏は現地メディアに「鉄の将軍」と呼ばれ、ロシアに対する抵抗の象徴として国民から非常に高い支持を得ていた。また軍内部からも絶大な尊敬を集め、兵士の多くから父親のような存在として慕われてきた。

 ザルジニー氏は政治的な注目を浴びるのを避けてきたが、2022年11月に南部ヘルソン(Kherson)市を解放するなど、特に著しい成功を収めた軍事作戦の指揮を執ってきた。

 だが、西側メディアなどに対する公の発言が、動員問題などをめぐって国民の結束の維持に苦慮するゼレンスキー氏を常に悩ませていた。ここ数日は去就をめぐる臆測が飛び交っていた。(c)AFP/Stanislav DOSHCHITSYN