船積みを待つBYDのEV(c)AFP/news1
船積みを待つBYDのEV(c)AFP/news1

【01月28日 KOREA WAVE】電気自動車(EV)の需要鈍化がEV・バッテリー業界のサバイバルゲームにつながっている。グローバルEVの先頭走者である中国自動車大手「比亜迪(BYD)」と米テスラが年明けから値下げを断行し、価格競争が本格化する見込みだ。

バッテリー業界も足元に火がついた。完成車メーカー各社の単価引き下げへの圧力が高まり、収益性確保のため、コスト削減に乗り出した。

テスラは最近、中国で販売するモデル3とモデルYのSUVの価格をそれぞれ5.9%、2.8%引き下げた。

中国に続きドイツなど欧州で販売するモデルYロングレンジ、モデルYパフォーマンスの価格も5000ユーロ下がった。値下げ率はそれぞれ9.0%と8.1%だ。

テスラに先立ち、EV市場シェア1位のBYDは、ドイツでEVの価格を最大15%引き下げた。これを受け、BYDの主力車種である「アト(Atto)3」の販売開始価格は、4万7000ユーロから4万ユーロへと下がった。

昨年初め、テスラの先制攻撃で勃発した第1次値下げ戦争に続き、今回のBYDの先攻で再びチキンゲームに火がついたのだ。

SNEリサーチによると、BYDとテスラの世界EV市場シェア(1~11月基準)はそれぞれ20.6%、12.9%で1・2位だ。EVの需要鈍化で市場のパイが小さくなった状況で、EVの巨人たちが価格競争力を前面に出して市場掌握に乗り出したという分析が出ている。

これらの企業が年明けから価格競争の狼煙を上げたため、残りのEV企業もチキンゲームを避けられなくなった。

プレミアムEVを目指していたメルセデス・ベンツが、価格の安いLFP(リチウムリン酸鉄)バッテリーを採用することにしたのも、このような脈絡と解釈される。

現代(ヒョンデ)自動車・起亜(キア)は米国でEVの価格を最大7500ドル割引して販売することにした。まだ、米国インフレ削減法(IRA)の補助金を受けられない点を相殺するため、補助金と同じ金額を自主的に削減し、顧客を逃さないという戦略だ。

バッテリーはEVの生産原価の40%を占めている。EVの価格を下げるためには、必然的にバッテリー単価の引き下げが伴わなければならない。

EVメーカーのBYDはバッテリーの鉱物・素材からバッテリーに至るまで垂直系列化を完了し、積極的な値下げが可能だ。テスラもある程度垂直系列化に成功し、価格競争力を備えている。

バッテリー企業から製品を供給される完成車企業の場合、EVの価格戦争に参戦するためには、低価格でバッテリーを購入する必要がある。完成車メーカー各社のバッテリー単価引き下げへの圧迫が強まりかねない理由だ。

実際、サムスン証券によると、現代自動車・起亜自動車の場合、昨年下半期のバッテリーパック調達費用はキロワット時(kWh)当たり130ドルと推定される。昨年、バッテリーパックの平均価格は139ドル(ブルームバーグNEF集計)で歴代最低額を記録したが、これより低い価格でバッテリーを調達したわけだ。

EV発の価格戦争がバッテリー業界に広がり、バッテリー企業は収益性確保はもちろん、シェア拡大のためにコスト削減に乗り出している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News