【1月14日 AFP】イスラム教徒が大半を占めるパキスタン・カラチ(Karachi)でこのほど、貧困のため単独で式を挙げることができないヒンズー教徒のカップル122組の合同結婚式が執り行われた。

 式に参加した花嫁の一人、カルパナ・デビさん(25)はAFPに対し、「両親は貧しく、(単独での)結婚式費用を賄えなかったので参加した」と話した。

 パキスタンでは結婚に多額の費用が掛かることが多く、花嫁の男性親族が花婿の家族に「ダウリ」と呼ばれる持参金を贈る習慣がある。

 別の花嫁の兄弟(25)は、「私の経済状態は良くなく、結婚式の資金をためられなかった。合同結婚式は良い機会だ」と語った。

 パキスタンは経済危機下にあり、人権監視団体によると、そうした中でも特にヒンズー教徒が最も過酷な社会経済的差別に直面している。

 合同結婚式を主催したパキスタン・ヒンズー協議会(Pakistan Hindu Council)によれば、パキスタンの人口2億4000万人のうちヒンズー教徒は800万人を占めていることが昨年の国勢調査で示された。

 人権団体は、ヒンズー教徒の女性が、イスラム教徒の男性と結婚することで強制的に改宗させられることもあるとしている。

 国連(UN)の専門家は昨年1月、「拉致され、自宅から遠く離れた場所で、場合によっては年齢差2倍の男性と結婚させられるような少女が増えているとの報告書を公表した。中には13歳の少女もいたという。

 ヒンズー教の活動家、シバ・カッチ氏は、2022年に改宗を強いられた少女170人超の家族に聞き取りをしたと述べた。

 一方、警察は、少女たちは貧困から抜け出すためイスラム教徒の裕福な男性と駆け落ちをしているにすぎないとしている。

 今回の合同結婚式に関わった、別のヒンズー教の活動家スンダルタ・ラトール氏は、「少女たちにはいろんな望みがあるが、それをかなえてやる余裕が親にはない」と指摘。経済的に制約され、限られた教育しか受けていないこともあり、外部の影響を受けやすい状況に置かれていると分析した。(c)AFP/Ashraf KHAN