【1月12日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)のティラナ・ハサン(Tirana Hassan)代表がAFPとのインタビューで、人権はぜいたく品ではないし、国益のために無視することもできないと語り、都合次第で人権侵害を無視する国を批判した。

 ハサン氏は世界の現状について、「西側諸国や欧州連合(EU)加盟国が、自らの政策を推し進めるためだけに国内外の人権侵害に目をつぶるのは、偽善以外の何物でもない」と非難。

「(そうした)ダブルスタンダード(二重基準)は、グローバルサウス(新興・開発途上国)に気付かれており、人権擁護においてわれわれが頼りにしている国際機関をむしばんでいる」と警告した。

 ハサン氏はとりわけイスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の軍事衝突に言及し、昨年10月7日にハマスがイスラエルの民間人を攻撃したことを一部の国は「激しく非難」したが、「イスラエル当局によるガザへの攻撃やガザでの民間人の死に対する米国、EU、その他の国々の反応は、はるかに弱かった」と指摘。

「二重基準」は、ロシアや中国のように「(人権関連の)国際機関は自分たちのためのものではない、人権は万人に適用されない」と主張する国々によって武器として使われていると警告した。

「2023年から得られる教訓があるとすれば、人権はその道徳的権威が均等に適用される場合にのみ存続するということだ」と述べた上で、「人権は『あるといい』ものではない。各国が適用したいときに、選択的に適用するものではない」と語った。(c)AFP/Amélie BOTTOLLIER-DEPOIS