【1月12日 AFP】国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は12日、ロシアによるウクライナ侵攻に対する各国の対応を称賛するとともに、シリアなど他の紛争による難民にも同じように配慮するよう訴えた。

 HWRは世界の人権状況に関する報告書で、他の危機についてもウクライナに対する国際的な対応の最良な部分を再現し、政治的意思を強化すべきだと指摘している。

 HRWのティラナ・ハッサン(Tirana Hassan)代表代行は英ロンドンでAFPの取材に応じ、各国のウクライナ侵攻に対する「対応と国際的な正義を追求するという決意」は明るい材料だと語った。

 さらにハッサン氏は「欧州諸国は実際に一致団結し、難民を歓迎した」と述べた。ただ、英国はウクライナ人に対するビザ(査証)取得制限を維持している。

 報告書は、ウクライナ危機での対応と、シリア、アフガニスタン、パレスチナ、ソマリアなどからの難民への対応を比べると、欧州の大半の国に「ダブルスタンダード(二重基準)」が存在することを浮き彫りにしたともしている。

 また、アフリカで2番目に大きい国であるエチオピアのティグレ(Tigray)州で2年にわたり続く紛争は、世界でほぼ注目されていないと指摘。

 ハッサン氏は、エチオピアでは現状2200万人以上が紛争の影響を受けており「世界でも最悪レベルの人道危機」だとし、「国際社会がエチオピアのような場所での紛争についても、責任を果たし続けることが極めて重要だ」と強調した。(c)AFP/Anna MALPAS / Marie HEUCLIN