【1月9日 東方新報】在上海日本国総領事の赤松秀一(Shuichi Akamatsu)総領事・大使は、2021年9月1日の現職就任以降、翌年4月のコロナ感染症まん延防止の都市封鎖の困難な時期を中日両国の人びとと共に乗り越え、23年ポストコロナの中日経済貿易・民間交流の急速な回復と発展も経験した。

 赤松総領事・大使は「東方新報」の取材に応じ、「上海総領事館は中国華東地区の経済、文化などさまざまな方面で最前線の表舞台で活動している。中国の日本企業の7割がこの地区に集中し、日本の対中国直接投資の7割もこの地区に集中している。中日両国関係の発展の歴史の中で、華東地区は常に変わらず日中経済の要の地位にあり、これは今後も変わらないと思います」と語った。

 コロナ感染症まん延の前と後の比較について、赤松総領事・大使は「現在の日本企業の数はコロナ以前から見て減少はしていません。これは上海の日本人学校の学生数の増加からも見て取れます。コロナまん延の時期には学生数が減少しました。この地区で働く多くの日本人が日本に帰国したからです。しかし現在は元の学生数に戻りつつあります。日本企業数が減らなかった主な理由は、感染症まん延の時期に彼らは中国と一緒に苦難の時期を乗り越え、中国との協力関係を進展させたからです。また文化的な要因も考えられます。例えば食文化等、日本人は中国の生活に比較的容易になじむことができます」と説明した。

 中国の経済は今のところ、期待されたような「V字回復」には至っていない。しかし日本企業はこのような状況でも努力を続け、経済構造的には楽観できない情勢下でもすぐに中国から撤退することはなかった。赤松総領事・大使は今年、パナソニック(Panasonic)の蘇州(Suzhou)新工場などのように、多くの日本企業が中国で新しい工場やオフィスを構える様子を目撃した。

 赤松総領事・大使にとって特に印象深かったのは、上海ロックダウンの時期に皆が工場再稼働・生産再開に向けて住まいを共にして一緒に仕事に励んでいた光景だったという。

 もう一つは、上海市から授与された「白玉蘭賞(Magnolia Awards)」だ。これは上海市の対外交流や都市発展に傑出した貢献を果たした外国籍の方々に対して、市が感謝の意を表すために授与する栄誉表彰だ。表彰開始から現在まで、各国の中で最も多くの受賞者を輩出しているのは日本で、合計354人が授賞している。ここからも分かるように、日本と中国の経済関係は極めて深く結びついている。

 上海在籍の「世界百強企業」の中では米国企業が最多となっているが、第2位は日本企業で3割弱を占める。多くの日本企業が、上海で重要な役割を発揮している。

 赤松総領事・大使の在職2年の間では、上海のみならず江蘇省(Jiangsu)、浙江省(Zhejiang)でも彼の活躍する姿が頻繁に見られた。近年、日本から蘇州への投資が毎年増加しており、21年には日本はすでに「蘇州市の三大外資国」の一つになり、蘇州に設立されている日系企業は2973社、主に自動車とそのパーツ、製造設備装置、電子通信、バイオ医薬、精密加工などの分野が多い。

 赤松総領事・大使の前任の磯俣秋男(Akio Isomata)前総領事・大使が、蘇州市政府と合作で「長江デルタ地区」の日中企業間の長期的な交流プラットフォーム「蘇州官民対話」を創設し、これまでに3年間で6回の活動が開催された。

 赤松総領事・大使は蘇州の国際的経営環境を高く評価しており、「地元政府と定期的に対話ができていることが、日系企業の大きな安心感につながっています。これもまた日本から蘇州への投資が増えている理由の一つです。そしてこの背景には地元政府の努力があります。地元政府は日系企業の要求によく応じ、行政サービスが優れています。これが日本企業の投資を促している主な要因です」と強調した。(c)東方新報/AFPBB News