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【01月09日 KOREA WAVE】映画「ソウルの春」が人気だ。

これは、深刻なコロナ事態の後遺症を体験した韓国映画界の状況はもちろん、オフシーズンに封切りという悪条件を乗り越えた成果という点で意味がある。

決定的な原動力として作用したのが高い完成度だという点だ。

韓国現代史の悲劇を劇化した暗い作品であり、結末が決まっている作品なのに、このように異例の興行ができたのは、演出と演技など映画全般の優れた作り込みが結局、爆発的な口コミにつながったというのが業界の定説だ。

国内配給会社の関係者は「さまざまな要素が複合的に作用しているだろうが、とにかく口コミの始まりはよくできた映画という点ではないだろうか」と話した。

映画関係者は「ソウルの春」が監督と俳優が同時に最上の結果を出した作業だということで口をそろえる。まず、この作品がキム・ソンス監督の最高作だということに異論はない。

最大の弱点は、ほとんどすべての観客が結末を知っているほど、韓国現代史の決定的な瞬間を映画化したという点だった。結末を知っているだけに緊張感が緩むという欠点がある。しかし、キム監督はこれを克服した。

実際、歴史を忠実に再現したのはもちろんだが、ストーリーの面白さのために一部架空の話とキャラクターを加え、正確でスピード感のある編集で、知っていても緊張せざるを得ない作品を作り出したという。

俳優らは卓越した演技でキム監督の演出を後押しした。ファン・ジョンミン、チョン・ウソンの2人の主演俳優は、いままで出演した映画の中で最も優れた演技をしたといっても差し支えない。映画が終わるまでドラマチックな緊張感を高めるのに決定的な役割を果たした。優れた演技力で定評のある俳優数十人が脇役だと自称して出演し、没入感を高めたことにも好影響を与えた。

国内製作会社の関係者は「パンデミック以後にスター俳優が多数出演したにもかかわらず失敗した映画がどれほど多いことか。『ソウルの春』は単純にファン・ジョンミンとチョン・ウソンが出てきたので観客が反応したのではない。ファン・ジョンミンとチョン・ウソンの演技がとても上手だったので観客が喜んでくれたこと。最近、観客はクオリティに対する基準が非常に高い」と話した。

完成度が観客動員に向けた口コミのきっかけになったとすれば、この口コミに乗って生み出された各種ミーム(meme・オンライン流行コンテンツ)は「ソウルの春」興行成果に爆発力を与えた。故チョン・ドゥファン(全斗煥)元大統領がモチーフになったキャラクター「チョン・ドゥグァン」とその一味の蛮行が「怒り」というキーワードで結集し、この単語がミームになってソーシャルメディアに広まり始めたことで、さらに多くの観客を呼び寄せることができたという分析だ。

「ソウルの春」ミームは序盤には「心拍数チャレンジ」で始まり、チョン・ドゥグァン役を演じた俳優ファン・ジョンミンが舞台挨拶で繰り返し謝罪をする映像が流れた。チョン・ドゥグァンの顔に数多くの穴が開いたポスターが話題になり、映画を見てから溜まったストレスを解消しろという意味でモグラ叩きが登場したりもした。

このようなエピソードがソーシャルメディアに飛び交い「ソウルの春」を人気映画に押し上げた。

この映画の観客56%は12・12軍事クーデターに関する情報が相対的に少ない20~30代だった。彼ら彼女らはソーシャルメディアを最も積極的に活用する世代だ。【NEWSIS ソン・ジョンビン】

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