【12月28日 東方新報】今夏に入ってから、中国の2大ティードリンクブランド「蜜雪氷城(Mixue)」と「庫迪珈琲(Cotti Coffee)」が相次いで日本に上陸し、再び「手頃な中国」が話題になっている。日本のメディアは中国の「5元(約102円)コーヒーが日本を震撼させる」と繰り返し報道し、2大ブランドも日本での展開計画を大胆に発表した。「蜜雪氷城」は2028年に1000店舗を出店する計画で、「庫迪珈琲」は来年2024年に2000店舗を出店できる実力があると主張している。

 年間2000店舗とはどういう構想なのだろうか。日本の消費者に深く愛されているスターバックス(Starbucks)は、現在日本で1846店舗を展開している。もし「庫迪珈琲」が本当に目標を達成することができれば、日本に「手の届く中国」というもうひとつの奇跡を生み出すことになるだろう。しかし、日本では茶飲料業界は、もはや漸進的な市場ではなく、足場を固めるのは難しいのではないかという慎重な見方もある。高田馬場の「蜜雪氷城」はオープンからわずか3か月で閉鎖を発表し、関連企業の日本への海外進出に影を落としている。

 日本における「手頃な中国」人気の背景には、この2年間、日本の賃金は物価の上昇にしばらく追いついておらず、その中で多くの人が消費しない、あるいはブランドを変えて、より安い商品を選ぶ傾向にある。

 総務省の最新データによると、日本のコア物価は上昇しており、直近1か月では前年同月比2.9パーセント上昇し、そのうち食材は7.6パーセント上昇した。一方、家計調査によると、日本の家計消費は7か月連続で下落しており、直近1か月では前年同月比2.8パーセント減、食材消費は3.7パーセント減となっている。日本の飲食コストの上昇は小さくないが、支出は縮小していることが容易に分かる。帝国データバンク(Teikoku Databank)による試算によれば、2022年と比較して、日本の家庭は今年、実際に平均4万4000円の飲食費を節約したことになる。一般的に日本の中間層をターゲットにしたローカルコーヒーの価格戦略に比べ、「庫迪珈琲」は試験営業段階で100円のアメリカンコーヒーが競争力を発揮する。

 近年、日本のメディアや世論は「メード・イン・チャイナ」の評判を楽観視していないが、外食産業はコア技術があまり扱われず、なかなかヒットの対象にならない。日本地元メディアの街頭インタビューで、首都圏に住む20歳前後の若者の間では「『蜜雪氷城』に対する抵抗感はほとんどない」と答えている。日本経済新聞(Nikkei)によると、インタビューに応じた埼玉県の女子大生は、中国人チェーン店に対する偏見はなく、同級生も偏見を持っていないはずだと答えたという。中国に行ったことのない日本の若者は、中国の飲料に好奇心を持っている。中国に行って現地で飲んだことのある日本人も、日本で飲めることを喜んでいる。

 今年10月には、「蜜雪氷城」の高田馬場店がひっそりと閉店し、SNS上で大きな話題を呼んだ。閉店の理由は「正常な供給ができないため」と書かれた張り紙が貼られていた。

 サプライチェーンの安定性は、こうした企業が海外に実店舗を構える際の重要なボトルネックのひとつかもしれない。さらに、Eコマースモデルとは異なり、これらの企業は初期投資が高い、サイクルが長い、現地の消費者と感情を構築することが難しいなど、多くの問題にも直面している。

 東洋経済(Toyo Keizai)によると、「蜜雪氷城」は日本に支店を設立しておらず、現在は主に現地店舗のフランチャイズ方式を採用していると市場関係者が明らかにした。また、みずほ証券(Mizuho Securities%)のチーフマーケットエコノミスト、上野泰也(Yasunari Ueno)氏は、家賃の高さ、水道代、電気代、原材料費の高さなどから、海外の外食企業がこの2年間で日本から撤退するケースは珍しくないと指摘する。さらに、日本のパールミルクティーのトレンドは後退し、新しいブランドが参入する余地はほとんどない。

 実際、企業が海外に支店を開設する場合、現地の経営状況が良好で、さらなる拡大を望んでいる場合もあれば、逆に、現地市場の競争が激しく、海外市場のフィードバックによって現地市場の復活を図ろうとしている場合もある。日本の中小企業専門のコンサルティング会社は、国内市場が飽和状態になると、中国のケータリングブランドは海外市場に目を向け、現地の中国人とのつながりを求めることが多いと指摘している。しかし、これらのブランドがティードリンク業界において日本で本当に地位を確立できるかどうかは未知数だ。(c)東方新報/AFPBB News