【12月15日 AFP】パレスチナ自治政府は14日、同自治区ヨルダン川西岸(West Bank)を占領するイスラエル軍が、モスクでユダヤ教の祈りを唱えるなどの冒涜(ぼうとく)行為に及んだと非難した。

 AFPが入手した動画には、ヨルダン川西岸のジェニン(Jenin)難民キャンプにあるモスク内でイスラエル兵が拡声器を使い、ユダヤ教の中心的な祈りである「イスラエルよ、聞け(シェマー・イスラエル、Shema Yisrael)」を唱えている様子が映っていた。

 動画の終盤では、モスクの外を歩くイスラエル兵たちの笑い声が聞こえ、拡声器からはユダヤ教の祭り「ハヌカ(Hanukkah)」の歌が鳴り響いていた。

 動画が撮影された日時は不明だが、パレスチナ自治政府の保健当局によれば、ジェニンは今週イスラエル軍の襲撃を受け、パレスチナ人11人が死亡した。

 パレスチナ自治政府のナビル・アブルデイネ(Nabil Abu Rudeineh)副首相兼情報相は声明で「イスラエルの占領軍がジェニン難民キャンプのモスクを冒涜したのは恥ずべき、非難に値する行為だ」と述べた。

「中東を宗教戦争に引きずり込むこと」と冒涜行為がもたらす影響への懸念を表明し、「イスラエルによる犯罪やパレスチナ人に対する人権侵害を世界が黙認し続ければ、イスラエルが火を付けようとしている宗教戦争の炎はパレスチナ自治区にとどまらず、全世界に広がるだろう」と警告した。

 さらに、国際社会と米国に対し、「パレスチナ人とその土地や尊厳に対する侵害を止めるよう、イスラエルに圧力をかける」よう求めた。

 一方、イスラエル軍は、モスクでの行為に関与した兵士は既に任務を解かれており、懲戒の手続きが進められていると発表した。

 パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の考古学当局は、イスラエル軍との激しい戦闘が続くガザで、これまでに100か所以上のモスクが破壊されたと推定している。(c)AFP