【12月11日 東方新報】中国国務院は12月7日、中国(上海)自由貿易試験区(Shaghai FTZ)を高度な国際経済貿易ルールに適応させ、ハイレベルな制度開放を促進する包括的な計画を発表した。

 この計画には、国境を越えたデータ通信、金融開放、人工知能(AI)に関する国際協力など80の施策が盛り込まれており、開放を推進し、グローバルな金融システムに統合し続けるという中国の揺るぎないコミットメントが強調されている。

 アナリストの分析によると「労働基準、知的財産保護、国有企業改革に関わる多くの政策が『環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(米国離脱後11か国で構成される自由貿易協定、CPTPP)』で認められている基準に合致している」という。

「上海FTZが改革の先駆者となれば、同様の政策が他のFTZにも適用される可能性が高く、ハイレベルな開放の新たな段階の中で、中国の『環太平洋パートナーシップ協定(TPP)』への加盟への道が開かれる」と専門家は指摘する。

 同計画によれば、「サービス貿易」において、金融機関は国家国境を越えたデータ伝送セキュリティ管理システムの枠組みの下で、日常業務に必要なデータを海外に伝送することができるようになる。

 マクロ経済の著名なエコノミスト田雲(Tian Yun)氏は7日の取材時、「この計画は金融やデータ分野で非常に大胆な措置と言える。『中国経済の停滞』に対する海外からの疑念や誇大宣伝に対して、市場の期待を安定させ、中国市場に対する世界の投資家の信頼を確固たるものにすることが期待できるものだ」と強調した。

 田氏は「金融サービス開放に関する一定の措置で、外国人投資家は債券や証券だけではなく、土地や基礎インフラなど取引可能なあらゆる種類の『人民元建て金融資産』に投資できるようになる。これは双方向の資本フローを加速させることに等しく、したがって、より多くの外国資本を呼び込むことになる」と説明する。

「今年中国で発表された一連の開放の動きに加え、上海FTZのさらなる改革は、中国が『デカップリング』に反対する具体的な行動を示しており、海外の一部メディアが主張するような『世界経済秩序への挑戦』ではなく、むしろ『世界経済秩序の発展促進』のための重要な要素になっている」、アナリストはこのような見方を示している。

 2013年9月に設立された上海FTZは、この種の特別区域としては中国初のもので、今や中国全土に拡大され、合計20以上のFTZ地区が設立されている。「上海FTZの経験を中国全土に広めることは、CPTPP加盟の基礎作りにもなる。現在の中国はCPTPPに関連するいくつかの基準でまだギャップが存在する。上海FTZ計画は、労働基準、SOE(国営企業)改革、政府調達などの面でのギャップを埋めるのに役立つであろう」、田氏は期待を込めてこのように語った。

 政府高官は6月、「中国はCPTPPに参加する意欲と能力を持っており、CPTPP加盟のための書類をすでに提出している」と紹介している。(c)東方新報/AFPBB News