【3月23 日 AFP】西アフリカのコートジボワールで、最大で体重500グラム、体長10センチほどまで育つ巨大カタツムリの養殖が一大産業になりつつある。

 カタツムリは同国含むギニア湾(Gulf of Guinea)諸国でごちそうとして食べられており、粘液や殻は化粧品に使われている。

 だが、世界有数のカカオ生産地であるコートジボワールでは、森林の大部分が農地に転用され、60年で90%近くが失われた。さらに農薬の広範な使用と相まって、野生のカタツムリの生息地は破壊された。

 野生の数が減少する中、カタツムリ専門の養殖場が相次いで開業。その数は、湿度の高い南部だけでも約1500軒に上る。

 経済の中心地アビジャン(Abidjan)の北約40キロに位置するアザギエ(Azaguie)の養殖場には、レンガとセメントで作られた容器が約10個あり、上には網を張ったふたが置かれている。

 中には土と葉が敷かれており、若いものから繁殖可能な個体まで数千匹のカタツムリが飼育されている。2日に一度、水を掛け、餌を与える。

■野生も養殖も「同じ味」

 森で採った野生のカタツムリの方が味が良く、養殖物は食べないというこだわりのある人もいる。

 だが、カタツムリの生産・加工・販売大手「コートジボワール・エキスパティーズ・エスカルゴ(CIEE)」の創設者兼代表のベルニュス・ブリュー氏は、野生のものと養殖のものに味の差はないと強調した。同社のキャッチコピーは「同じカタツムリ、同じ味」だ。

 CIEEの従業員アレクシス・ファミーさんは、養殖場では「熱帯雨林の自然環境を再現し、カタツムリは葉と果物、野菜、トウモロコシ、キビ、大豆しか食べない。農薬は一才使わず、完全にオーガニックだ」と話した。

 6年前に設立されたCIEEは現在、50軒の養殖・加工工場を持ち、75人を雇用している。さらに、毎月約200人の新規参入希望者に研修を行い、養殖事業の立ち上げ支援を行っている。

 研修参加者の多くは自分の養殖場を設立するか、組合と契約を結ぶ。

 現在約2万5000軒の養殖場があるが、業界全体で今後数年で10万軒まで増やすことを目指している。