【12月5日 AFP】英政府は4日、合法的な移民の流入が記録的な数に達する中、一連の流入抑制策案を発表した。これには、技能労働者ビザ(査証)発給条件にある最低年収額の引き上げも含まれている。

 来年予定されている総選挙では移民問題が大きな争点になるとみられ、与党・保守党よりも野党・労働党が有利との見方が強い。

 リシ・スナク(Rishi Sunak)首相はこれまでも、移民の流入数を抑制すると約束していた。だが英国立統計局(ONS)が先月発表したデータによると、2022年の移民の純流入数は74万5000人で過去最高となった。

 ジェームス・クレバリー(James Cleverly)内相は、対策案は来年の早い段階で施行するとし、これにより流入する移民は30万人減少すると説明した。

 案には、技能労働者ビザの条件として定められている、企業が支払う最低年収を現在の2万6200ポンド(約490万円)から約30%引き上げ、3万8700ポンド(約720万円)とすることが盛り込まれている。

 医療福祉分野は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)の影響もあり、人手不足にあるため、今回の対策案の対象から外された。ただし、扶養家族の帯同は制限される。

 クレバリー氏はまた、移民の国民保健サービス(NHS)の付加料を66%引き上げ、1035ポンド(約19万円)とする計画についても再度言及した。

 しかし付加料については、国民保険料は源泉徴収されるため、移民労働者は二重請求されていることになると批判する声もある。(c)AFP