【12月1日 AFP】イスラエル当局は、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)が大規模攻撃を計画しているとの情報を事前に入手しながら重大視していなかったと、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が11月30日、報じた。

 同紙によると、イスラエル当局が入手した文書には、約1200人が死亡した10月7日の急襲に「酷似した、壊滅的な越境攻撃の概要が事細かに記されていた」という。

 文書の内容は同紙も確認した。そこには攻撃の具体的な時期は書かれていなかったものの、最初のロケット弾の大量発射、監視システムの破壊、武装した戦闘員による陸と空からのイスラエル侵入など、これにハマスが従ったかのような詳細な計画が記載されていた。

 同紙は、イスラエル軍の戦闘能力や拠点に関する機密情報も含まれているこの文書について、政府高官が確認していたかどうかは不明だが、軍と情報機関の幹部の間では広く共有されていたとしている。

 昨年行われた軍事評価では、ハマスがこの計画を承認したと判断するには時期尚早と結論付けられた。さらに、ある情報分析官が、この計画に沿ってハマスが訓練を行っていると警鐘を鳴らした際にも、重大視されなかった。

 同紙によると、同分析官が「戦争を始めるための計画」だと警告したのに対し、報告を受けた軍幹部は「慎重に待とう」と答えたという。

 これらの事前情報は、ハマスの計画決行が差し迫っていることを示唆するものではなかった。また情報当局は、ハマスの指導者ヤヒヤ・シンワール(Yahya Sinwar)氏がイスラエルとの戦争を望んでいないという見方を変えなかったと、同紙は伝えている。(c)AFP