【11月30日 CNS】中国内陸部の重慶市(Chongqing)澎水県(Pengshui)では、中医薬の原料にもなる珍しい果物「布福娜(サネカズラ・コッキネア)」が収穫期を迎えている。布福娜が実る武陵山(Wuling Mountain)では、村人たちはかごを背負い、手にハサミを持って果物狩りに忙しいようだ。

 「黒老虎」とも呼ばれる布福娜は、この地域で暮らす少数民族であるミャオ族の言葉で「美と長寿の果実」を意味するつる性の植物だ。

 その根と茎は天日で乾燥させて薬として使用できるほか、果実は球形のパイナップルか、巨大なライチのような形をしており、繊細な果肉が甘くておいしいことで知られる。

 布福娜中医薬モデル基地の責任者である熊剛(Xiong gang)氏は「布福娜はその全てが宝物だ。その根茎は薬として使用でき、果実は食べることができる。その葉も手作りせっけんとして開発できる」と語る。

 澎水県は、中国国内で最もミャオ族の人口が多い自治県であり、「世界に広がるミャオ族の故郷」として知られている。

 布福娜中医薬モデル基地は2016年に発足。武陵山脈には野生の布福娜が自生しており、その野生種を人工栽培することによって、現在の果実の大きな品種に発展させてきた。

 今年の収穫見込みは果実だけで300トン。同基地では、西南大学との協力によって果実酒や化粧品、エッセンシャルオイルなどを開発し、産業化を進めている。

 地元の農業従事者である晏建林(Yanjianlin)さんは「以前、若者たちは出稼ぎに行くしかなかったため、この周辺の土地は耕作されずに放置されていた。基地ができて現金収入が得られるようになったことで、出稼ぎに行く必要がなくなった」と話している。

 澎水県では、農業と観光を融合させた民泊事業やキャンプ場の整備が進められており、布福娜を利用した町おこしに期待が集まっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News