【11月25日 AFP】スウェーデン政府は24日、ウルフ・クリステション(Ulf Kristersson)首相が「イスラエルにはジェノサイド(集団殺害)の権利がある」と発言しているとされる動画が拡散している問題について、「事実の歪曲」であり、「偽情報キャンペーン」の一環だと述べた。

 問題の動画は、21日のイエーテボリ(Gothenburg)での公開会議で質疑応答の際、クリステション氏がイスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)の一連の衝突について話し始めた時のもので、言い間違えたように見える。

 クリステション氏は、「イスラエルには国際法の枠内で自衛権があるという点で」スウェーデンと欧州連合(EU)は一致していると発言しようとした際、「自衛」を意味するスウェーデン語「forsvar」ではなく「folk」と口にしてから言い直した。

 聴衆の一部は、クリステション氏が「ジェノサイド」を意味する「folkmord」と言おうとしていたと解釈しているが、「国際法」を意味する「folkratt」にも似ている。

 聴衆からは「イスラエルにはジェノサイドの権利があるのか」「聞こえたぞ」と声が上がった。騒ぎは収まらず、抗議する人々がやじを飛ばし、クリステション氏は発言を遮られた。

 カールオスカル・ボリーン(Carl-Oskar Bohlin)民間防衛相はX(旧ツイッター)に、「現在、スウェーデン首相の発言について不正確な解釈と歪曲した動画が出回っている」「狙いは明らかで、スウェーデンの対外イメージを傷つけ、二極化と分断を謀っている」と投稿。

「スウェーデンの社会福祉に関連した偽情報キャンペーンの関係者」が話を膨らませていると指摘した。

 クリステション氏はその後フェイスブックに、会議は「政治的に破壊工作を試みるやから」によって中断されたとし、「イスラエルとガザの衝突に関するスウェーデンとEUの政治的立場への怒り」を晴らしたかっただけだろうとの見方を示した。(c)AFP