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【11月24日 KOREA WAVE】韓国で「乳母車論争」が起きている。母親が押すというニュアンスが漂う「乳母車」ではなく、ジェンダー平等の意味を込めた「幼児車」を使うべきではないか、という主張だ。

発端は今月3日のユーチューブのバラエティ番組だった。女優のパク・ボヨンさんと男性コメディアンのユ・ジェソクさんらの会話で「乳母車」という発言に「幼児車」と字幕が付いた。これに気付いた一部の視聴者が「間違った単語でもないのにあえて幼児車と表記する必要があるのか」と指摘したのだ。

国立国語院は昨年11月、「乳母車も幼児車も標準語として登録されている」と発表したうえで「なるべく『幼児車』や『赤ちゃん車』という表現を使うことが推奨される」と説明した。

そもそも乳母車の語源は日本語とみられる。しかし、今では日本でも「乳母車」と言うのは一部の高齢者ぐらいで、多くは「ベビーカー」と呼ぶ。

問題はこの論争が単なる表現を超えて、男女間の理念の争いに発展したことにある。「幼児車を使うべきだと主張するのはフェミニズム思想を持つ女性だ」という主張と、「性差別的な表現はなくしていくべきだ」とする考えがぶつかり、かみ合わない状態が続く。

国立国語院の掲示板には乳母車、幼児車に関する抗議が殺到している。

ある女性会社員(26)は「幼児車という表現が使われるのはとても良い変化だと感じた。だが、このように論争になるとは思わなかった。自然に変わるべき表現なのに、わざとけちをつけているように感じられる」と見る。一方、男性会社員(32)は「乳母車だからといって女性だけが押すなんて考えたことは一度もない。なのに必ず幼児車と呼べというのか」と語った。

翰林(ハルリム)大学社会学科のシン・ギョンア教授は「乳母車は女性が養育を担っていた時にできた言葉なので今の現実には合わない。乳母車がむしろ男性を養育から排除し、父親の権利を認めない差別的表現とも見ることもできる。フェミニズムと結びつけることなく変化していくのが望ましい」と指摘する。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News