【11月20日 AFP】イスラエルのギラ・ガムリエル(Gila Gamliel)情報相は19日、国際社会はパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)再建を経済的に援助する代わりに「(同地区の)パレスチナ人に対し、世界各国への自主的な移住」を推進するべきだと主張した。

 パレスチナ人の分散移住案は、アラブ諸国の間では大きな論争を呼ぶテーマだ。1948年のイスラエル建国に伴う第1次中東戦争でパレスチナ人76万人が家を追われた出来事は、「ナクバ(Nakba、大惨事)」と呼ばれている。

 ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の住宅当局によると、今回のイスラエル軍との衝突では、4割以上の民家が損壊もしくは破壊された。

 ガムリエル氏は英字紙エルサレム・ポスト(Jerusalem Post)への寄稿で、紛争終結後の「選択肢」の一つとして、「人道的理由から、ガザ地区のパレスチナ人に対して地区外への自主的な移住を促す」案を提示。

「国際社会は、ガザ再建や機能不全に陥っている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に資金を投入するのではなく、(パレスチナ人の)移住費用を援助し、ガザの人々が新たな受け入れ国で新しい人生を築くのを支援することもできる」と主張した。

 さらに、「ガザは長年、答えのない問題だと考えられてきた」「われわれは何か新しいことを試さなければならない。その策を実現させるために、国際社会に支援を求めたい」「(パレスチナ人の移住は)双方にとってウィンウィンの解決法になり得る。より良い生活を望むガザ市民にとっても、今回、極めて大きな悲劇を経験したイスラエルにとってもプラスになる」と述べた。

 しかし、米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は、ガザ市民が「故郷であるガザにとどまれるようにするべき」との考えを示している。(c)AFP