ガザ最大病院から乳児31人退避 待機中に2人死亡 WHO
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【11月20日 AFP】世界保健機関(WHO)は、パレスチナ自治区ガザ市(Gaza City)にあるガザ地区最大のシファ(Al-Shifa)病院から乳児31人を退避させたと明らかにした。院内になお残っている患者や職員も退避させるとしている。
シファ病院の院長は、イスラエル軍に退避を命令されたと主張。18日には数百人が病院から避難したという。そうした事態を受け、WHOは同日、病院を緊急視察した。現場にいたAFP記者は、患者や負傷者、避難民が徒歩で臨海地区に向かうのを確認した。イスラエル側は、命じた事実はないとしている。
パレスチナ自治区の病院事業を統括するムハンマド・ザクト(Mohammed Zaqut)氏はAFPに、「シファ病院にいた乳児31人は全員退避」させたとし、エジプトに入国させる準備を進めていると語った。
WHOによれば、乳児は治療のためパレスチナ赤新月社(Palestinian Red Crescent)の救急車でガザ南部の病院に搬送された。31人中11人が重体とされる。
医師の報告では「医療品不足によりシファ病院では感染対策を維持できず、乳児全員が深刻な感染症にかかっている」という。
ガザの保健当局が家族の居場所を突き止められなかったため、身内に付き添われている乳児はいなかった。搬送を待つ間、2人が院内で死亡した。
保健当局によれば、同病院では燃料不足で保育器が稼働せず、今月11日以降に死亡した乳児は8人となった。
WHOは、院内に残っている患者は291人、医療関係者は25人だと発表。退避計画を策定しているが、退避完了には「数日」かかるとし、「まずは22人の透析患者と脊椎損傷患者50人を優先する」としている。(c)AFP