【11月20日 東方新報】2023年11月5日から10日まで、第6回中国国際輸入博覧会(輸入博、CIIE)が上海市で順調に開催された。初回から輸入博に参加している日本企業の花王(Kao)は、今年も「同美共生(美と共生)」の素晴らしいビジョンと共に登場した。

 消費品区画の花王ブースで中国の来場者は、スキンケアやクリーニングなどのおなじみの日用消費財として使用される「ブラックテクノロジー」だけでなく、同社のあまり知られていないもう一つの側面である農業も目にすることとなった。

 シャンプーや洗濯洗剤と同様のコア技術を持つ農薬補助剤製品が、「花王」と「農業」を結びつけた。農業用機能性展着剤は、農薬の散布作業で使用され、農薬の効果を安定させ、散布液の付着性と展着性を向上させる製品だ。農薬補助剤を添加することで、農薬の使用量を減らし、病害虫の防除効果を強化することができる。

 花王が農業関連製品を輸入博で展示するのは初めてではないが、今回の飛散防止剤「KAO ADJUVANT A-200」は、中国で行われた日中共同実験を経て、製品の効果と産業交流の両面で新たな意味を持つようになった。

 2021年、日本国内の機能性展着剤市場でシェア第一位の花王は、中国の農業用ドローンの急速な普及に際し、中国市場でドローン散布専用の飛散防止剤を発売した。2022年から2023年の2年間にわたり、上海花王は中国農業科学院(CAAS)植物保護研究所の水稻病虫害防除専門家、侯茂林(Hou Maolin)教授の研究グループと共に、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)桂林市(Guilin)興安県(Xing'an)、湖南省(Hunan)衡陽市(Hengyang)衡南県(Hengnan)、江西省(Jiangxi)宜春市(Yichun)袁州区(Yuanzhou)で数回の防除効果試験を行った。

 中国の田園での実験では、「KAO ADJUVANT A-200」を添加したドローンによる農薬散布が、蒸発を効果的に抑制し、側風による薬液の飛散を減少させることが証明された。農薬の使用量を30パーセント減らしても、100パーセント使用した場合とほとんど変わらない効果を発揮し、農薬散布非対象の農作物や周囲の環境への化学汚染を大幅に低減させた。

 今回の輸入博の花王ブースでは、農業用ドローンが展示されていた。スタッフがこの飛散防止剤と道具を持ちこみ、来場者に補助剤を添加する前と後の、2枚の植物の葉の表面の液体の濡れ方と展着性の比較効果を実演して見せた。

 飛散防止散布を代表とするスマート農業は、日中両国や世界の農業発展の未来の方向を示している。花王は輸入博のステージを通じ、中国の消費者や業界に対し、企業のコア競争力である界面制御技術が、日常生活や工業農業などの非常に広範な産業の高度化・イノベーションに応用できることを示した。同社は、日中両国がグリーン農業やスマート農業におけるさらなる交流と協力を展開していくことを期待している。(c)東方新報/AFPBB News