【11月17日 東方新報】世界各国の企業が中国に売り込みたい商品を展示する「第6回中国国際輸入博覧会(輸入博、CIIE)」が11月5~10日、上海国家会展センターで開かれた。日本や欧米をはじめ五つの大陸の69か国から3400社が参加し、400を超える新製品、新技術、新サービスを発表。中国市場へ熱烈にアピールした。会場で多くの商談が行われ、成約見込み額は累計3500億ドル(約52兆9410億円)に達する。

 輸入博には世界の自動車ブランド上位15位をはじめ、産業用電気企業、医療機器企業、鉱山大手、穀物メジャー、海運大手の上位企業がこぞって参加した。米国政府も今回初めて出展し、自国の農産物をPRした。

 ひときわ注目を集めたのは、ヤマハ(Yamaha)のブースに展示されたヒト型自律ライダーロボット「モトボット(Motobot)」だ。これまでに「史上最強のライダー」といわれるバイクレーサーのバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi)氏にタイム競争を挑み、サーキットの走行で時速200キロ超えを達成。多くの来場者が興味深く眺めていた。

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)からスピンオフされた医療機器メーカー・GEヘルスケア・テクノロジーズ(GE HealthCare Technologies)は、重さわずか205グラムのワイヤレス超音波画像診断装置「Vscan Air」を展示。手のひらサイズで医者がどこでも簡単に超音波検査を行い、救急救命など多くの臨床現場で迅速な検査を可能にする。

 米医療機器ボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific)は、シリコーン製胃内バルーン「Orbera」を発表。米食品医薬品局(FDA)が承認した減量効果が期待できる「神器」で、内視鏡を使って胃の中に入れ、生理食塩水でバルーンを膨張させることで食べられる量を少なくする。体格指数(BMI)30~40の肥満患者を対象に、世界中の術症例は30万に達している。

 フランスのディオール(Dior)は、唐の時代の伝統工芸や中国少数民族のデザインを生かしたファッションをお披露目し、「中国愛」をアピールした。

 国際輸入博覧会は、世界の企業が中国へ進出する足がかりの場となっている。第1回輸入博では、アイルランドのメドトロニック(Medtronic)が重さ2グラム、体積1立方センチの世界最小の心臓ペースメーカー「マイクラ(Micra)」を展示。多くの注目を集め、翌19年に中国で正式に発売された。

 今年の輸入博では、日本企業は外国企業で最多となる350社が参加。赤松秀一(Shuichi Akamatsu)在上海日本国総領事・大使は「今後の日中関係は国民間の交流や経済交流は不可逆的な流れになる」と話している。(c)東方新報/AFPBB News