【11月15日 CNS】中国・杭州市(Hangzhou)で2023年10月に開催された第19回アジア競技大会(19th Asian Games、Asiad)では、特別な「運搬作業員」たちが観客の注目を集めた。円盤投げ選手の投てきの間、円盤器具を拾い上げる従来の役割を2匹の犬型ロボットが担い、円盤の受け渡しのためにフィールドを行き来していたのだ。「聞き分けが良く、プロフェッショナル」な2匹は、中国の科学研究チームから来たもので、広く注目を浴びている。
  
 紹介によると、この犬型ロボットの移動速度は「人間のジョギングとほぼ同じ」で、人間の代わりに円盤を追いかけることができる。背中には凹型の溝があり、1~2キロの円盤を載せられる。会場での犬型ロボットを活用した往復輸送により、人間のスタッフの体力の大幅な節約につながった。


 このような犬型ロボットは、四足歩行ロボットとも呼ばれる。現在、四足歩行ロボットは自主的に走ったり、跳んだり、立ちあがったり、でこぼこした道を歩いたり等の動作ができる。最新型は人工知能(AI)技術を統合しており、算数、翻訳、道案内、天気予報、会話などの機能も備わっている。

 近年、中国の科学研究チームは十数種類の消費市場向け四足歩行ロボット製品を発表しており、その価格はほぼ全てが1万元(約20万7906円)レベルに抑えられている。比較的単純なシーンにおいては、良いアシスタントとして家庭向けのサービスを手伝うことができる。   

 産業向け市場においては、中国の科学研究チームは、産業区やコミュニティの安全防備・巡回検査、屋外の電力巡回検査、消防救助、排水管網、過酷な環境下での物流などの応用が徐々に成熟してきている。産業区の安全防備・巡回検査における事例として、中国海洋石油集団(CNOOC)傘下の初の天然ガス発電企業の嘉明発電所が挙げられる。同発電所は、2022年から犬型ロボットによる人間の巡回検査の代替によって、労働者の負担を大幅に軽減させ、人手を削減し、人的操作ミスの発生率を大幅に低下させることができた。

 以上の事例でみられる犬型ロボットによる「腕試し」は、中国のロボット産業の急速な発展を示している。統計によると、2022年の中国ロボット産業の営業収入は1700億元(約3兆5344億円)を超え、二桁成長を続けている。同年、中国工業用ロボットの設備容量は世界シェアの50パーセント以上を占め、世界最大の市場となっている。  
 
 特筆すべきは、中国工業・情報化部が今年初めに、次なるステップとして政府が「ロボット+」の応用行動を推進し、ニッチ分野での実用化を強化し、成熟したシーンの拡大と推進を加速していくことだと明確にした。政府が中国のロボット産業の発展に「加速キー」を押すことで、テクノロジー企業の当該分野での発展の加速がさらに促されることが見込まれる。(c)CNS/JCM/AFPBB News