【11月13日 東方新報】中央アジアのカザフスタンと国境を接する中国西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の街・ホルゴス。ここでは「国境を越えて朝食を食べ、また国に戻る」という生活ができる。特別経済区「ホルゴス国際国境協力センター」は、ビザなしで中国に入ることができるためだ。

 協力センターには飲食店やショッピングセンター、娯楽施設、ホテルなど3500店舗があり、1日8000元(約16万5979円)までの商品を免税で購入できる。中央アジアの人々が羊肉入りピラフ、サムサ(肉詰めパン)、麺料理のラグメンといった新疆料理や中華料理を楽しみ、中国製品を買っていくスポットとなっている。中国と中央アジアの人々の交流・ビジネスの場となっており、かつて古代シルクロードの中心地だったにぎわいを取り戻しているようだ。

 ホルゴスは経済発展が進む中国沿岸部から見れば「辺境の地」であったが、近年は中央アジアと中国の経済・物流を結ぶ拠点として重要度が高まっている。その構図は新疆ウイグル自治区の経済全体も共通している。自治区では石油、鉄鉱石といった天然資源の産業や、オアシス農耕による綿花、ブドウ、ハミウリなどの農業が伝統的に盛んだったが、中国が進める巨大経済圏「一帯一路(Belt and Road)」の重要拠点として存在感が高まっている。

 中国政府は10月、新疆ウイグル自治区に自由貿易試験区を開発すると表明した。試験区は全体で179.66平方キロ。区都ウルムチ市(Urumqi)が134.6平方キロ、カシュガル市(Kashgar)に2848平方キロ、ホルゴスが16.58平方キロという内訳だ。

 自治区の中心地であるウルムチ地区ではアパレル、医薬、新エネルギー、情報・ソフトウエアなどの産業を強化。キルギスやパキスタン、アフガニスタンと国境を接するカシュガル地区は輸出を志向して繊維、電子製品など労働集約型産業に力を入れ、ホルゴス地区は国際的な物流、観光、展示会などのサービスに注力する。海外企業が進出しやすいよう、国際法の専門家データベースを構築し、農業やエネルギー、環境、健康分野で中国と中央アジア諸国の共同研究センター設立を検討している。

 商務部の郭婷婷(Guo Tingting)次官は11月1日の記者会見で、「海外の金融機関が自由貿易試験区に銀行、保険、証券などの機関を設立し、国際化・多様化した金融商品・サービスを提供することを支援する」と述べ、海外からの進出を歓迎。「投資環境の円滑化を促進し、金融サービスの機能増強やデジタル経済発展の推進を図る」と強調した。新疆ウイグル自治区と近隣諸国が共に栄えるウインウインの関係を推し進め、21世紀版シルクロードの繁栄を目指している。(c)東方新報/AFPBB News