【11月9日 AFP】イスラエルのエリ・コーヘン(Eli Cohen)外相は8日、欧州議会(European Parliament)での演説で、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)を一掃するためのイスラエルの軍事作戦は「自由世界(西側諸国)の戦争」だと語った。

 コーエン氏は演説の際、先月7日のイスラエルに対するハマスの奇襲時に撮影されたとされる約2分間の悲惨な映像にピアノ音楽を重ねて編集したものを流し、議員たちの感情に訴えた上で、「10月7日はホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)以来、イスラエルとユダヤ人にとって最悪の日となった」と述べた。

 また、イスラエルが報復として行っているガザへの激しい攻撃は、ハマスの「テロリズム」を根絶するために必要だと正当化し、「これはイスラエルだけの戦争ではない。自由世界の戦争だ」と主張。

「テロリズムはがんのようなものだ。西側諸国が次の標的とならないために、われわれはこの戦争に勝たねばならない」とも述べた。

 イスラエルは、ガザでの軍事作戦の目標はハマスの殲滅(せんめつ)だと主張している。ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、掃討作戦終了後、ガザ地区の治安に関する「全責任」はイスラエルが負うと語っている。

 演説の中でコーエン氏は、ハマスが世界各国からガザに集まった支援金をトンネル掘削やロケット弾工場の建設に流用し、パレスチナ人を「飢餓」に陥れているとも指摘した。

 さらに、ハマスやイスラエルを標的とする武装勢力の背後にはイランの存在があると主張。

「わが国を攻撃しているのはハマスやイスラム聖戦(Islamic Jihad)だけではない。レバノンのヒズボラ(Hezbollah)、イエメンのフーシ派(Huthis)からも攻撃されている」と述べ、「彼らを結びつけるものが一つある。イランだ。イランは世界最大のテロ資金提供国だ」と述べ、イランが過去3年間に行われた国交正常化や和平プロセスを頓挫させようとしていると非難した。(c)AFP