【11⽉12⽇ Peopleʼs Daily】港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge)は10月23日、開通5周年を迎えた。通行した車両は延べ750万台で、広東(Guangdong)・香港・マカオの3地を往来した人は延べ3600万人に達した。粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)では人の流れ、資金の流れ、物流が相互に絡み合い、全体が融合した新たな光景の出現が加速している。

 ガイドの蘇桂萍(Su Guiping)さんは午前8時、湖北省(Hubei)からの観光客38人を連れ、港珠澳大橋を通過することで香港マカオツアーを開始した。蘇さんは「多くの観光客が港珠澳大橋を一目見たいと思っています」と述べた。

 広東・香港・マカオの3地域間で盛んになっている相互往来は、強い相互需要に由来している。中国大陸部は経済が繁栄して施設が整っており、中国大陸部を旅行した香港やマカオの住民の多くは、「多くの商品がとても安く、ここ数日は食べることと遊ぶこと以外は『買いまくって』いました」などと話す。中国大陸部に出向いて、親族や友人のために「代理購入」した商品を車にいっぱいに詰め込んで戻る香港人もいる。

 港珠澳大橋の珠海道路通関所は朝になるとトラックの通関ラッシュを迎える。香港向けや香港経由で世界に運ばれる貨物を輸出したりした大型トラックが長い列を作る。

 珠海市(Zhuhai)の海淼水産公司は、港珠澳大橋の開通後、同橋を利用して香港市場に新鮮な海産物を供給した最初の企業だ。同社の翁錫鵬(Weng Xipeng)社長は「昔に比べて時間効率が大幅によくなり、ずっと新鮮な水産物を届けられるようになりました」と述べた。

 港珠澳大橋を利用することで、香港から珠海、マカオまでの自動車による移動時間はかつての3時間から約45分に短縮され、さらに24時間の迅速通関により、港珠澳大橋は粤港澳大湾区の物流の大動脈となった。今年9月末までに港珠澳大橋珠海道路通関所を経由して輸出入された貨物の総額は7187億5000万元(約14兆8377億円)に達した。

 深セン市(Shenzhen)塩田区(Yantian)内で飲食娯楽施設の「小港夜」を開業した香港人青年の陳家聡(Chen Jiacong)さんは「深センから香港までは交通の便がいいです。こちらで起業すると店舗の装飾やブランディングなどの支援も受けられるので、魅力的です」と語った。深センなど珠江デルタ各地では、創業担保貸付、就業創業補助など若者の起業を支援するシステムがほぼ構築されている。

 政策による革新に伴い、教育、医療、社会保障、文化などの分野で広東省・香港・マカオの協力が深まり、3地の往来は観光・ビジネス、就業・起業、民生など多くの分野に拡大し続けている。

「粤港澳大湾区は中国で最も開放度が高く、経済活力が最も強い地域の一つです。港珠澳大橋が生活の『速いルート』、経済貿易の『大動脈』の役割を果たすにつれ、一体化し続ける大湾区は、新たな急発展期を迎えます」――。中山大学(Sun Yat-sen University)地域開放協力研究院院長で香港・マカオ珠江デルタ研究センター教授の毛艶華(Mao Yanhua)氏は、そう断言した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News